ド軍逸材が驚いた日本野球…米とは「比較にならない」 3AのHR王が苦しんだ侍の魔球
米国代表のウォードはド軍傘下で今季3A本塁打王
日本の投手陣のレベルの高さを痛感し、大谷翔平、山本由伸両投手らが活躍している理由が分かったような気がした。「ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12」で指名打者部門のベストナインに輝いた米国代表のライアン・ウォード外野手はメジャー昇格を目指し、日本での経験を活かす。
26歳のウォードは今大会主に4番に座ると、グループA・メキシコ戦で2本塁打3打点の活躍を見せるなど、オープニングラウンドで4本塁打をマークした。23日のスーパーラウンド・ベネズエラ戦でも3位決定戦へ回ることが濃厚の中で同点の9回に決勝ソロ。計5本塁打で大会“本塁打王”に輝いた。
2019年のMLBドラフト8巡目(全体251位)でドジャースへ入団。今季はAAAで打率こそ.258だったが、リーグトップの33本塁打をマークするなど、101打点、OPS.860と好成績を収めた。一方で、ドジャースにはジェームズ・アウトマンやアンディ・パヘスなど有望株が台頭しつつあり、チャンスは決して多くない。
6年間でメジャー昇格は果たせなかったが、決して腐らずにプレーしている。「2019年のスイングと今のスイングを比較したら、同じところは1つもない」とマイナー組織のコーチングスタッフに感謝する。今季チームはワールドシリーズを制覇。「制覇したことは素晴らしいことだ。彼らのことを思うと嬉しいよ」と自分のことのように喜ぶ。
苦戦した侍投手陣のスプリット「チェスしている気持ち」
チームには大谷、山本の2人の日本人がいる。スプリングトレーニングでは2人から学ぶことも多かった。「毎日来たときには何をやるか決まっているし、それを全てこなすために彼は一生懸命やるんだ。尊敬できるいいお手本だと思った」と大谷について語る。山本とは投打が異なるが「試合に向けて(山本がどういう)準備をしているか知ることができたからクールな体験」。リハビリで訪れた際に、準備する姿勢を学んだ。
米国代表の一員として打率.308、5本塁打11打点、OPS1.206をマークした。ただ、侍ジャパン戦では4打数無安打3三振。「日本の投手はフォームが違うから、タイミングがとりずらかった」。レベルの高さを痛感した。
中でも苦戦したのは落ちる球だった。第1打席は高橋(中日)の145キロスプリットを引っ掛け一塁ゴロ。第2打席も追い込まれてから3球スプリットを投げ込まれ、最後は空振り三振に倒れた。第3打席では隅田(西武)のチェンジアップにバットが空を切った。
「米国でも時々投げてくるけど、到底比較にはならないよ」。第2打席では追い込まれてから2球なんとか喰らいついたが打ち崩せなかった。「だから、アプローチを変える必要があった。チェスをしているような気持ちだったよ」。お手上げ状態と言ったように苦笑いする。
チームは24日のベネズエラとの3位決定戦に勝利し2大会ぶりのメダルを獲得した。ウォードは再び2025年シーズンへ向け、練習に励む。「ドジャースに在籍している全ての人は知識が豊富。彼らから少しずつ勉強して毎日少しずつ成長することを心がけているよ」。次こそはワールドシリーズ制覇の瞬間をグラウンドで迎えたい。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)