大谷翔平が見据える二刀流の“未来” 2026年WBC出場へ改めて意欲、28分間の激白…一問一答
オンラインインタビューで激白「どちらかにせざるを得ないタイミングがもし来たら」
ドジャースの大谷翔平投手は9日(日本時間10日)、報道陣のインタビューに応じた。28分間のオンラインインタビューでは来季の二刀流復活へ思いを吐露。古巣・エンゼルス入りした菊池雄星投手、世界一連覇がかかる2026年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)についても語り尽くした。
――現在の投打のリハビリ状況は。
「可動域、肩のショルダーモーションの可動域を広げるというか、元に戻している作業をやりつつ。投げる方はある程度投げ始めているので、70マイル(約112.7キロ)くらいですかね。まだシーズン先なので、投げる方はそんな感じで。キャッチボールをしてという感じですかね。打撃の方はまだ構えるくらいの感じでしかやっていないです」
――ドジャースで過ごした1年間を振り返って。新たな発見は。
「新たな発見は至るところで。新しいチームに入って、新しいコーチと新しい選手たちと。フロントオフィスの方もそうですけど。新しいことだらけの中でいい発見が毎日ありましたね。シーズン中。これ一つということではなくて、いろんなことを経験できたシーズンだったなと思います」
――ロバーツ監督は3月の投手復帰は難しいとの見解を示していた。投手復帰は。
「どうなんですかね。もちろん、なるべく早く復帰するところに焦点を当てたいですし。それが開幕というのが選手としては一番早いところではあると思うので、そこに焦点を当てないと思っていますけど。再発防止も兼ねて慎重にいかないといけない部分もやはりあると思うので。そのどちらとものバランスを取りつつ、自分としては、最短を目指していきたいと思っていますし、トレーナーとしては慎重に事を進めたいなという、そのバランスがお互いに大事なのかなと思っています」
――二刀流をいつまで継続するか。思い描いていることは。
「この先、どういうふうに自分が思うのかというのはその時にならないと。ある程度は想像しながらいきますけど、実際なった時と、その想像の中では全く違うものだと思うので。昨年も2回目のトミー・ジョンをしましたし、今回も左肩(の手術を)しましたけど、若い時からある程度、怪我をするという想定の中で体を作るということをやってきましたし、出力が高くなるということは、慢性的な肘の手術というのは必ず起こるという想定ではいたので」
「逆に言えば、そこを想定していたからこそ、ある程度、自分の中で柔軟に対応できたというのはあると思う。それが年を重ねていくにつれて、もっともっと体の違和感であったりとか、技術、視力の低下であったりとか。そういうことは訪れる想定ではいないといけないと思うので、そこを想定しつつ。片や、今できるパフォーマンスをしっかり上げていきたいというのはもちろんある。自分の中では二刀流というのを今までやってきて、長く続けたいという思いはあるので。ただ、どちらかにせざるを得ないタイミングがもし来たとしたら、どちらにしても対応できるような準備をしっかりしておく必要があるのかなと思いますね」
前々から故障も想定「TJは必ずするだろうなと思っていた」
――故障の想定とはどのくらいしているのか。
「TJ(トミー・ジョン手術)に関しては、必ずするだろうなとは思っていたので。それはメジャーの1年目だとは思っていなかったですけど、そこは必ずするとは思っていました。2回目のタイミングはやっぱり5、6年投げてどうだろうなと想定していましたけど、逆に言えば、5、6年経ったのが今年の終わりくらいなので、30の終わりで2回目のTJをするより逆に早い方が良かったのかなと思う部分も今思えばあったりと思うので。タイミングに関しては分からないですけど、そういう想定、いろんなパターンを想定をしておくことが大事だなと思いますね」
――今年59盗塁を決めた。走塁、盗塁でつかんだものは。
「盗塁は一番は帰塁ですかね。リードと帰塁が一番ですかね」
――盗塁のスタートではなく。
「そこまでですかね。しっかりとした姿勢で構えて反応できれば、ある程度、いいスタートが切れると思うので。それよりはしっかりとしたリードを取りながら牽制が来た時にしっかり戻れるという自信があることがスタートを切る、または二塁に進んでいく過程で大事だなという感じですかね。今年に関しては」
――来季は二刀流でプレーするが、盗塁や走塁への意識は変わってくるか。
「誰が前後を打つのかとか、それにもよったりするので。今年最初、2番でムーキーが1番で。ムーキーが怪我から帰ってきた時はスイッチしましたけど。それによって、ある程度、走塁に関しては変わったりすると思うので。後ろで例えばゲッツーの多い打者がいるのかによって、ある程度、失敗のリスクが少し高い場面でもいった方がいい場面というのもあると思いますし、点差によっても。なので、そこら辺は臨機応変にというか。何年もメジャーでやってきましたけど、前の年と全く同じラインアップということは可能性はないので、必ずメンバーが誰かしら変わってクリーンアップも変わっていくことの方が多いので、そこは新しく入った選手ともコミュニケーションを取りながらやっていく必要があるかなと思いますね」
――来季は盗塁数が減るという声もある。覆したい思いは。
「数字はもちろん積み重ねでしかないので。特に盗塁に関しては成功数よりも失敗数の方が僕は大事にしたいと思っているので。何本企画するかより、企画した中でしっかりと成功する。割合が高ければそれが勝利につながる可能性がもちろん高いと思うので。そこのまずは大前提として失敗を減らしていくという作業をしながら、いける時にはもちろんいく姿勢というのは、例え投手として投げていたとしても、そのゲームの中で。もちろん進塁した方が可能性が高いのであれば、もちろんいく準備はしたいなと思っています」
50-50達成&ワールドシリーズ制覇、今年の漢字は「一」
――今年の漢字を一字を表すなら。
「久々にその質問来ましたね。ふふふ。何ですかね。えー、なんだろう。優勝の『優』でもあり、一番の『一』でもあり、50―50の『五』でもあり、たくさんあるんですけどね(笑)」
――1つ選ぶなら。
「1個? 『一』じゃないですか。じゃあ。優勝の一番になったということと、移籍1年目だったということと。という感じですかね」
――いつも常識や限界を超えてくる。ご自身でどう捉えているか。
「なんでしょうね。もちろん子どもの頃、野球を始めた最初からメジャーリーグにやってきて、本塁打王になったりとか、MVPをいただいたりとか、優勝できたりとか、というところまで最初から想像できたわけではないので。上がっていくにつれて少しずつ見える先が広がってきたような感じではあるので。この先もそれはあまり変わらないんじゃないかなと思うので。少し先を見据えるくらいで十分なのかなというか、そのくらいがちょうどいいのかなとは思ったりはしていますね」
――左肩を怪我をして、投球や打撃に左肩がどういう役割をしているか。気づきがあったか。左肩をどう動かせばよりいいものに近づくかという発見はあったか。
「打撃に関してはまだ打ったりとか、バットを振ったりとかはできていないので。投球に関しては多少、70マイルくらいですかね。そこそこは投げている。ある程度、怪我の功名ではないですけど、必ず怪我をすると、膝の時もそうですし、肘の時もそうですけど、そういう大なり小なり気づくことはあると思うので、改めての確認であったりを含めて、発見は毎日リハビリの段階が上がれば上がるほど増えてくるのかなとは思っています」
――バッティングで構えの重要性を言っているが、足の感覚やバットを持っている感覚など、いい構えはどういうものを言うのか。
「自分の中の感覚としては、正しく立てているなというのが一番ですね。腕の高さであったり、グリップの自分の体からの遠さだったりとかで、重心の位置はずれるんですけど、例えば、それをスタンスで変えるのか、開き具合で変えるのか、あとは下は変えずに手のバランスで変えていくのか、目線で変えていくのかとか。主観の部分ではそういうところが一番大事だなとは思っているので、そこさえ整えば、ボールが来る前にある程度打てる予測というのが、しやすいなと思っています」
過去2度の右肘手術「3回目の手術をして、復帰に1年かけてというのが正しい選択か」
――さらに上を行くためにモチベーション高く保つためにはどのようなことをしているか。
「それはあまり考えたことはないですね。野球を始めてから、段階が進むにつれて見える可能性だったり、自分の進む可能性が少しずつ広がってきて、進めば進むほど足りない、足りないという野心みたいなのが増えていったなという感覚なので。それにプラスして最近、ここの3年とかのスパンで言うと、足るを知るみたいな。自分が十分足りているなという、ありがたいなと思う部分というのが周りの環境も含めて、多くなってきているので。モチベーションをどう高くしようと思ったことは、ないですね。あまり考えなくても、そこは昔から、進むにつれてむしろ高くなってきたなと。別にMVPをもらったからとか、今回優勝したからと言うのは一つの形でしかないので。一番大きい部分というのは現役でいるうちに、どれだけ多く技術だったり、フィジカルを自分の中で高めていけるのかが、趣味みたいな部分ではあると思うので。そこは特にあまり考えたことはないですかね」
――ロバーツ監督がメンタル面のケアを重視していると話をしていた。メンタルのサポート面で日米の違いを感じるか。
「必ずどのチームもそうですけど、メンタルコーチみたいな人が必ずいるので。ドジャースの場合はいますし、必ず試合中もベンチに入って、そのコーチがいるので。あまり僕は重視するということはないんですけど、環境的には日本よりはメンタルというのを技術の一つみたいな捉え方というか、メンタルの整え方も学んで、人によっても違うし。そこをカスタムしていくではないですけど、デザインしていく感じですかね。日本の場合は根性、根性みたいなところがあると思うんですけど、それも善し悪しだと思うので。はまる人にははまると思いますし、はまらない人にははまらないのかなと思います」
――昨オフに「投手でもう一度、同じ症状になったら配置転換」との発言があった。その気持ちは変わりないか。
「そうですね。必ずそうなるかどうかではなくて、ある程度、想定をいろいろしていくことが大事。その中の一つとして、1回目のトミー・ジョンは必ず来ると思っていたので。そこは別に何とも思っていなかったんですけど、2回目のトミー・ジョンはタイミングがどこで来るかとか。それによって。あとは進行状況ですね。一概にトミー・ジョンと言っても、どの程度靱帯が傷ついているかによって、どのくらい投げられるかも違うので。いろいろ想定をしていく中で、現実的に3回目を受けるのがおそらく希望としては5年以上は伸びてほしいとは思っているので。年齢的にたとえば35を過ぎたあたりで3回目の手術をして、復帰に1年かけてという領域に入っていくのが、正しい選択になのかどうかはその時の自分のコンディショニングにもよると思うので。現実的に見れば、やはり2回目くらいまでが投手としては理想なのかなと思っています」
2026年WBCへ思い「もちろん選んでいただけるように」
――高校の先輩、菊池雄星投手がエンゼルス入りした。
「行けば毎年挨拶をして話をさせてはもらうんですけど、エンゼルスに行くというのは何となく変な感じというか、あまり想像がつかないんですけど、是非、僕のロッカーを継いでくれたらうれしいなと思っています」
――2026年WBCへの思いは。
「もちろん選んでいただけるように、まずはそこの位置でしっかり、呼んでいただけるくらいのプレーヤーでいたいなと思っています。もし呼んでいただけるのであれば、もちろん出場するというのは昔からの目標ではあるので、もちろんコンディショングによるとは思うんですけど、出場するというのは、僕的には何回だろうと、出場したいなとは思っていますね」
――二刀流を続けることへの思い、こだわりは。
「今までDHと先発でやってきたので、もちろんその想定ではいきますし。ただ、どういう風に投げていくかというのは、その時のメンバーだったり、配置によって変わってはもちろんくるので。そこら辺も。ただチームが勝つ、ポストシーズンを見据えながら、今年みたいに最後に勝つところを想定しながら、シーズン中はより組み立てていく必要があるので、そこを見据えながら、チームと相談しながら、デザインしていくのが理想なのかなと思っていますし、ベースとなるのは21年から23年くらいの、どちらも規定に近いくらい出場するのが理想ではあると思うので、臨機応変に対応できたらなと思っています」
(小谷真弥 / Masaya Kotani)