宮城大弥の号泣に「僕も泣きました」 無念の最終戦、厚澤コーチも心を打たれた瞬間

オリックス・宮城大弥【写真:矢口亨】
オリックス・宮城大弥【写真:矢口亨】

オリックス・厚澤投手コーチ、宮城の無念に「僕も泣きました。なんか自然に」

 悔しさを乗り越え、ともに前に進む。オリックスの厚澤和幸投手コーチが、雨天コールドとなったシーズン最終戦で最優秀防御率のタイトルに届かなかった宮城大弥投手と、来季のリベンジを誓った。

「悔しいというか。ここまで一生懸命、頑張って投げていたピッチャーがいることに対して、こういう終わり方があるんだなって……。僕も泣きました。なんか自然に。宮城には『来年、やりかえそう』と言いました」。静かにその場面を振り返った。

 10月6日の楽天戦。ソフトバンクのリバン・モイネロ投手と防御率のタイトルを争う中、登板した宮城を打線も援護し、6回を終え8-1と大量リードを奪った。問題は試合中、降り続いた雨だけだった。7回1死で代打・杉本裕太郎外野手が告げられたところで試合が中断、そのまま降雨コールドゲームになってしまった。

 この試合で6回、自責点1の宮城。防御率は1.91だった。このまま9回を投げ切れば、モイネロの1.88を上回ったのだが、天候が続投を許してくれなかった。規定投球回にもあと4つのアウトが足りず、ベンチで目に手を当てる宮城にとって、文字通りの涙雨だった。左胸を痛め約50日間、1軍のマウンドから遠ざかり7勝(9敗)に終わったが、最終的に20試合に登板。タイトル争いにも参戦し、エースの責任は果たした。

「結構、危ない橋を渡りました。2か月ほど故障で離脱したピッチャーが、規定投球回に達するほどまでくるのはすごいことです。後半戦に詰め込んでしまったので、こちらとしては毎試合、体をチェックして(コンディションに)気を使いながら登板させていました。チームがBクラスになったにもかかわらず本人のモチベーションが高かったので、その気持ちを叶えさせてあげたいと思いました」。チームの勝利を願い自ら高みを求め続ける宮城に、心打たれたと明かす。

「天気とはいえ、最後の最後にああいう場面がきて(最終戦に)ああいう試合があって、宮城くんはそこに挑戦してあの終わり方か。もう、文句なしに(記録を)作るしかないのかと。でも、僕は無駄ではなかったと思います。達成できなかったからこそ、さらに目標ができたと思います」。6年目のさらなる飛躍に期待を込める。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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