戸惑った初来日「何をしているんだ」 NPB“進出”も…向けられた視線「君は誰だ?」
フィリーズのスカウトが初来日した22年前を回顧
今年のメジャーリーグは日本選手の活躍が目立った。ドジャースの大谷翔平投手は2年連続3度目のMVPに輝き、カブスの今永昇太投手は15勝、パドレスのダルビッシュ有投手は日米通算200勝を飾るなど多くの選手が躍動した。米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」は、約20年前に日本球界を視察に訪れたメジャースカウトの“苦労”について伝えている。
2002年、当時フィリーズのスカウトだったティム・キスナー氏が来日した。ヤクルトで活躍していたロベルト・ペタジーニ外野手の視察が目的だった。その前年にマリナーズに入団したイチローがMVPに輝いたが、日本選手視察というわけではなかった。広島で行われた試合で、キスナー氏と同僚スカウトは入場券を購入し、記者席にメンバー表を取りに行ったが、日本メディアに奇異な目で見られたという。
「記者席の人たちが『何をしているんだ? 君は誰だ?』という感じで私の方を見てきたんだよ。クレデンシャルを持っていなかったが、自分はMLBのスカウトだから行きたいところに行けるものだと思うだろう」とキスナー氏は振り返る。
当時、自身の携帯電話は日本で使えず、テレホンカードを購入した。球団のコンピューターシステムにアクセスできず、「Microsoft Word」でレポートを書いた。ホテルのコンシェルジュや親切な見知らぬ人を頼りに日本国内を慌ただしく回ったという。キスナー氏は「我々は飛行機で日本に到着した際、ヤクルト・スワローズがどこ(の球場)で試合をするのか知らなかったよ」とも語った。
日本でのスカウティングがまだ初期段階だった時代で、大谷はまだ小学生。メジャーリーグのフロントが日本プロ野球のレベルを理解し始めたばかりの頃だったと記事は伝えている。22年前、イチローが活躍していたとはいえ、日本プロ野球界全体の認知度はまだまだ低かった。
(Full-Count編集部)