大黒柱離脱も穴埋めた若手 躍動した慶大トリオ、片鱗見せた22歳大砲候補…鷹の24年野手陣
鷹・山川、近藤、周東が打撃タイトル獲得…栗原は2度の月間MVP
ソフトバンクは2024年、91勝49敗3分けで、2位・日本ハムに13.5ゲームの大差をつけて4年ぶりのリーグ優勝を飾った。チーム打率(.259)、安打数(1244本)、本塁打数(114本)、得点(607点)はいずれもリーグ1位で、打線が快進撃の原動力となった。
今季加入した山川穂高内野手は、全試合に4番で出場した。4月13日の西武戦で史上2人目の2打席連続満塁本塁打を記録するなど、5月までに12本塁打を放った。6月は打率.182、0本塁打と低迷したが、7月に6本塁打、8月は11本塁打と再び調子を取り戻し、9月は月間打率.308をマーク。チームで唯一全試合出場を果たし、34本塁打、99打点で2冠に輝いた。一塁手部門で自身初の三井ゴールデン・グラブ賞を受賞した。
近藤健介外野手は「投高打低」が叫ばれる中、リーグ唯一の3割打者になった。打率.314、出塁率.439で自身初の首位打者と、4度目の最高出塁率のタイトルを獲得。パーソル パ・リーグの最優秀選手にも選出された。
自身初の規定打席に到達したのは周東佑京内野手。自己最多の123試合出場で打率.269、2本塁打、26打点、41盗塁をマークし、2年連続3度目の盗塁王になった。三井ゴールデン・グラブ賞、ベストナインも初受賞した。
栗原陵矢内野手は5月に月間打率.373、3本塁打、16打点でプロ10年目にして初の「大樹生命月間MVP賞」に輝いた。9月はリーグトップの24打点。9、10月度に今季2度目の月間MVPを受賞した。
今宮健太内野手は133試合に出場し、打率.262、6本塁打、39打点で2年ぶり4度目のベストナインに選出された。8月4日には遊撃手として通算1532試合出場を果たし、松井稼頭央氏を抜いてパ・リーグ最多記録を更新している。
柳田や牧原大、三森らが故障離脱も…穴埋めた慶大トリオ
柳田悠岐外野手は開幕から3番打者で出場し、3、4月は、打率.323、30安打、22打点、出塁率.462で「大樹生命月間MVP賞」に輝いた。しかし、5月31日の広島戦で負傷交代し、翌日に登録抹消。シーズン最終盤まで戦線を離脱した。
柳田の穴を埋めるように、中盤以降は若鷹が力を発揮した。柳町達外野手は交流戦で12球団3位の打率.351をマーク。8月4日の日本ハム戦で自身初のサヨナラ打、9月21日には楽天・則本昂大投手から逆転サヨナラ三塁打を放つなど、勝負強さを発揮した。
大卒3年目の正木智也外野手も飛躍を遂げた。右の強打者として存在感を放ち、対左投手の打率.320を記録。8月23日の日本ハム戦では、宮西尚生投手から決勝弾を放った。80試合に出場し、打率.270、7本塁打、29打点はいずれもキャリアハイだった。
牧原大成内野手は4月下旬に故障で戦線離脱。三森大貴選手内野手も5月31日に怪我で登録抹消となった。この危機に台頭したのはドラフト3位ルーキーの廣瀬隆太選内野手で、5月下旬に1軍初昇格。6月4日の中日戦で初安打をマークすると、14日の阪神戦で初本塁打を放つなど躍動した。柳町、正木、広瀬の“慶大トリオ”の更なる飛躍に注目が集まる。
2021年育成ドラフト2位で入団した川村友斗外野手し、開幕前に支配下契約を勝ち取った。開幕1軍でシーズンを迎え、初出場した4月6日の楽天戦で初安打・初打点をマーク。4月下旬から5月上旬にかけて11試合連続安打を放ち、4月は月間打率.393を記録した。高卒4年目の22歳・笹川吉康外野手も1軍デビューを果たし、6月14日の阪神戦で初安打。翌15日には初本塁打を放った。柳田を彷彿とさせるフルスイングに期待は高まる。
(「パ・リーグ インサイト」谷島弘紀)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)