本田仁海が“解禁”するファンサの精神 寡黙で柔和な表情も…目に映った後輩の存在
オリックス・本田仁海が見せる“変化”…目に映る才木海翔の存在
殻を破り、自分をさらけ出す。オリックス・本田仁海投手が、今季の目標の1つにファンとの距離感を縮めることを誓った。「練習とか試合でクール感を出していましたが、普段は全然、普通です。仲間内では本当はちょけています。ファンの方とかには、それがバレないように作っていたんです」。低姿勢で、申し訳なさそうに切り出した。
本田は星槎国際湘南高から2017年ドラフト4位でオリックスに入団。最速158キロの直球にフォーク、スライダーを武器として、2022年には中継ぎ、抑えとして3登板連続して初ホールド、初セーブ、初勝利の“プロ初”を記録するなど、42試合に登板。2勝3敗2セーブ、14ホールドをマークし、防御率3.50でリーグ優勝に貢献した。
色白で柔和な笑顔から、ファンの間では「ひとみちゃん」と親しみを込めて呼ばれているが、シャイな性格でその距離は意外に遠い。マウンドで表情1つ変えることのない投球スタイル同様に、ファンの前でもポーカーフェイスを貫いてきた。キャンプ地や大阪の球団施設・舞洲でサインに全く応じないわけではなかったが、転売の多さを知ったこともファンとの距離が開く遠因になったという。
ただ、決してファンを無視しているのではなく、自分の世界に入り込むことで集中力を高める狙いもあった。しかし、ファンあってのプロ野球。応援してくれるファンの存在を忘れたことはなく、宮崎市での春季キャンプから積極的にファンと接することを決めた。
今オフの自主トレ期間を、後輩の才木海翔投手と初めて過ごした。先輩にも“タメ口”で接してくる才木の明るさや、気軽にファンの声援に手を挙げて応えてサインにも応じる飾らない姿にも、大いに影響を受けたようだ。
「サインを求められても、次の練習への移動中などでは応じられないこともあるのですが、可能な限り応えたいと思います」と本田は語る。隣から「ファンのサインには、全部対応するって言っていましたよ」と、おどける才木を笑顔で受け入れたことからも、有言実行となりそうだ。
「毎年、前半はいいのですが(状態が)どんどん落ちていくんです。1年間、いい状態を継続すれば、成績も変わってくると思います。強いチームに戻るためにも、ファンの方々の声援に背中を押していただき、一緒に戦っていきたいです」。プロ8年目は、ファンとともに歩み喜びを分かち合う。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)