異国で無双“0.75” 育成23歳の尽きぬ闘争心…見据える支配下「未来は見えた」

オリックス・大江海透【写真:北野正樹】
オリックス・大江海透【写真:北野正樹】

オリックス育成左腕・大江海透「0.75の『75』なんていらないです」

 圧倒的な数値で支配下選手登録を掴む。今オフの台湾・ウインターリーグで防御率0.75をマークし、一躍注目を集めたオリックスの育成2年目左腕・大江海透投手が、好成績に満足することなく「防御率0.00」を目標に、支配下入りに猛アピールする。

「台湾での目標は、防御率0.00でした。1失点だったので自信はつきましたが、その1点が悔しかったです」。好成績にもかかわらず、大江に笑顔はなかった。

 大江は佐賀県出身。神崎清明高、久留米工大、九州アジアリーグ・北九州下関フェニックスから2023年育成ドラフト2位でオリックスに入団。プロ1年目は2軍で19試合に登板し、2勝0敗、防御率6.10の成績で、支配下選手への夢はかなわなかった。

「僕は野球というスポーツに対してのスキルや考え方が、まだまだ二流、三流だなと気付かされた1年でした。キャッチボール1つ、フィールディングや牽制など細かいことを言ったらキリがありません。でも、こうやっていけばいいんだなとか、その未来は見えてきました」。プロの厳しさを痛感すると同時に、自らの伸びしろを知ることができた1年だった。

 プロ2年目に向けた課題を胸に臨んだ台湾でのウインターリーグ。防御率0.00を目標に掲げたのは「台湾で0.00じゃないと、支配下になれない。ちゃんとアピールすることが必要」という不退転の覚悟から。「NPBホワイト」の一員として、中継ぎ、抑えで10試合に登板し、1勝0敗、4ホールド、1軍セーブ、防御率0.75と好成績を収めた。

 目標の「防御率0.00」は達成できなかったもの、失点は1-9の7回から登板した5試合目の「1」のみ。それでも、大江は「負け試合の流れのまま入ってしまい、4四球を出したことが悔やまれます。いつどんな状況でも自分のパフォーマンスを出せないと使ってもらえませんから。どんな点差であっても自分のピッチングをすることの大切さを改めて学びました。0.75の『75』なんていらないです。ほしいのは『00』です」と表情を引き締めた。

 2軍投手コーチ時代の岸田護監督から受けたアドバイスは「細かいことは考えず、逃げようとせず勝負していこう」だった。「逃げるということは、勝負の世界では通用しないんだと教わりました。かわすとか逃げるとか、そういうものはなしでいこうと思っています」。台湾での12イニングで14奪三振を奪った攻めの投球で、支配下選手登録を掴み取る。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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