オリ助っ人来日2年目の“変化” 母国に届いた通信環境「家族が日本の野球を見られる」

オリックスのアンダーソン・エスピノーザ【写真提供:PLM】
オリックスのアンダーソン・エスピノーザ【写真提供:PLM】

オリックス・エスピノーザ「日本の文化が好きなんだ。この美しい文化が」

「お互いを尊敬し合う日本の文化が好きなんだ。この美しい文化が、僕の心に栄養を与えてくれるよ」。そう話すのは、昨季オリックスに加入し、先発投手陣の柱としてチームを支えたアンダーソン・エスピノーザ投手だ。来日1年目は22試合に登板し7勝9敗、防御率2.63をマークするなど、才能の片鱗を見せた。また、ラテン系ならではの陽気な一面を持ち、ファンからも愛されている。

 今回はエスピノーザのパーソナルな一面に迫るべく、母国・ベネズエラのこと、チームメートのこと、そして日本での生活のことなどについて語ってもらった。

 ベネズエラの首都・カラカスで生まれたエスピノーザは、4歳の時に両親からクリスマスプレゼントとしてバットとグローブをもらったことがきっかけで野球を始めた。当時所属していたチームメートを“家族”と表現し「お互い協力し合う、温かい環境だった」と振り返る。16歳までベネズエラでプレーしていたエスピノーザだが、ベネズエラ野球には、ある大きな特徴があるのだとか……。

「ベネズエラの野球ファンはとっても厳しいよ(笑)。選手への期待が高いから、その分、良いプレーできなかった時はすごく厳しい。でも、それはポジティブな面もあって、野球選手としての成長につながるし、より良いプレーをしたいと思わせてくれるんだ。ベネズエラの野球は日本より激しいし、アグレッシブだけど、今ではその経験が武器になっているよ」

 母国について、懐かしみながら教えてくれたエスピノーザ。「異国の地、日本でプレーすることは、大変なことも多い」と前置きしつつも「僕は野球選手である前に、1人の人間として人生を通じて学び続ける必要があると思っている。他の国に行くときは、その国との文化のつながりを探すことが好きだから、日本に順応することはそこまで難しくなかった」と来日当時を振り返る。それでも、やはり言語の壁は高かった。

「難しいと感じることの1つは、言語。今は週3回、オンラインで日本語を勉強しているよ。学ぶ意欲とエネルギーがあれば、いろいろなことを学べる。それは自分自身の人生、そして野球選手としての成長にもつながると思うんだ」

 チームメートから日本語を教わることも多いそうで「発音が上手にできるように手伝ってくれたり、本当にたくさんの言葉を教えてくれる。この環境はとても幸せだと感じるし、そんなチームメイトたちと日本にいられることに感謝しかないよ」と笑顔を見せた。

才木とは「音楽を送り合っているよ。才木はスペイン語の音楽が好きだから」

 チームメートのなかでも、特に仲の良い選手を尋ねると開口一番、才木海翔投手の名前を挙げた。「才木とは音楽を送り合っているよ。才木はスペイン語の音楽が好きだから、彼にスペイン語の音楽を教えると、彼も僕に音楽を紹介してくれるんだ」。続けて「宮城(大弥)の投球法には憧れている。平野(佳寿)さんや阿部(翔太)さんとも気が合うし、曽谷(龍平)とも仲良くしているよ。みんながくれた愛を、みんなにお返ししたい」と、チームメートと良い関係を築けていることを嬉しそうに語った。

 また「母国にいる祖母、そして叔母の手料理が恋しい」と話すエスピノーザだが、お気に入りの日本食があるという。「全ておすすめしたいけど、特にお寿司、ラーメンは最高だね!」。母国で応援してくれているファンに向けて「日本に来る機会があれば、ぜひ食べてみてほしい!」と強調し、昨年、宮城と一緒に寿司を食べに行ったことも明かした。

 来日2年目を迎える今季、母国ベネズエラでは、家族がエスピノーザの活躍をリアルタイムで見守っている。なぜなら、昨季からベネズエラを含む中南米地域でパーソル パ・リーグの配信が見られるようになったのだ。

「2024シーズンは、僕の家族が配信を通じてオリックスの試合を観てくれたんだ。時差があるから、僕のお母さんは早起きして観てくれていたみたいだよ。何千キロと離れている母国で、家族が日本の野球を見られるのは本当に素晴らしいことだと思う。とにかく、僕の気力あふれるピッチングを見てほしいよ」

 今シーズンは早めに来日し、フィジカル面、メンタル面ともに、開幕に向けてしっかり調整できているというエスピノーザ。インタビューの最後に、今季にかける想いを尋ねた。「1番はしっかりケアをして、1年間健康で過ごすこと。健康でなければ、何もできないし、何も成し遂げられないから。2つ目は日本一になること。チームのために完封勝利を挙げたいし、ノーヒットノーランも達成したい。そして、沢村賞を獲りたい!」。

(「パ・リーグ インサイト」後藤万結子)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY