育成2年目で悟った「もう終わり?」 “延長の1年”も叶わぬ夢…付き纏った「辞めようかな」

元オリックス・釣寿生氏【写真:真柴健】
元オリックス・釣寿生氏【写真:真柴健】

2021年から3年間オリックスに在籍した釣寿生…2年目で「辞めようかなとも」

 2021年から2023年までオリックスに育成選手として在籍した釣寿生捕手は、入団から3年間で2軍戦15試合の出場にとどまった。夢だったプロ野球生活で味わった“挫折”に「もちろん、しんどかっただけではないです。ただ、楽しいだけでもない期間でしたね。毎日、試合に出られないと悔しいので……。その分、練習をしましたね」と振り返る。

 念願だったプロの扉を開いたが、壁にぶつかる日々だった。京都国際高から2020年育成ドラフト4位でオリックスに入団。指名された瞬間を思い出すと「ドラフト指名がかかった時は、野球を一生懸命やってきてよかったと思いました」と言葉を前に出した。

「実際、ドラフトでかかるとは思っていなかったんです。驚きというか、ビックリした気持ちの方が強かったです。でも、あの時、呼ばれなかったら……。その時点で野球を辞めてましたね」

 オリックスで出会った数々の“才能”に驚きを隠せなかった。ドラフト同期の「しゅんペー(山下)とかウダさん(宇田川)のボールを受けて『こういう人が1軍で活躍するのか』と感じました。あんまり言えなかったですけど、正直、心の中でずっと思ってましたね」。

 バッテリーとして投球を受ける度に、自身とのレベルの差を痛感した。「育成契約2年目で『もう終わりかな?』と思ったんです。本当は2年目のオフに『辞めようかな』とも思ってました。でも、もう1年契約してもらえて……。3年目は人の目を気にせず、何も考えずに頑張ってみようと思いました」。努力は重ねた。ただ、目標だった支配下選手登録は、遠い夢だった。

 釣は今、地元の兵庫・姫路で祖母が営む「唐揚げ専門店・えびす」を手伝っている。「今は安定していない仕事です。まだ、ぼんやりしていますけど……。少しずつ明確にしていきたいですね」。人生には、充電期間も必要な時がある。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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