夏には覚悟した戦力外 好成績も1軍に居場所なし…DeNAで感じた阪神との“違い”

春季キャンプで投げ込むDeNA・岩田将貴【写真:栗木一考】
春季キャンプで投げ込むDeNA・岩田将貴【写真:栗木一考】

DeNA・岩田は阪神4年間で1軍登板なく昨季限りで戦力外となった

 DeNAの岩田将貴投手は、阪神で1軍登板のないまま昨季限りで戦力外となった。新天地では春季キャンプをA班で完走し「左打者をしっかり抑えること、誰にも真似できない角度で勝負できることが僕のセールスポイント。1軍で投げられるようにアピールしていきたいです」と燃えている。

 2020年育成ドラフト1位で阪神に入団した変則左腕は、2022年6月に念願の支配下切符を掴んだ。2軍では直近3年連続40試合に登板しており、昨季は46試合で防御率2.11という成績を残しながら、戦力外となった。

「1軍の投手陣もすごくよかったですし、付け入る隙がないというか……。もちろん実力もなかったんですが、結果の割に声はかからないだろうとボチボチ感じていて、戦力外の覚悟もある程度、夏くらいからありました」

 岩田が言うように、阪神の昨季の救援防御率は優勝した巨人と並びリーグトップの2.27。左投手だけでも70登板で防御率1.79の桐敷拓馬を筆頭に、岩崎優、島本浩也、富田蓮らがいた。

「もうできなかったかもしれない野球、またできる環境を与えてくださった」

 覚悟していたとはいえ、戦力外を告げられたときには今後に不安も覚えた。まだできるという思いの一方で、声がかからなければ続けられない世界。複雑な思いで練習を続ける中、DeNAから連絡があった。「もうできなかったかもしれない野球を、またできる環境を与えてくださった。しっかり結果で恩返ししたい」と感謝の思いを胸に腕を振る。

 人見知りだという左腕だが、「阪神も明るかったんですけど、ベイスターズは違う明るさがすごくある。僕も溶け込みやすかったです。みんなキラキラしています」。個別練習の時間が多かったDeNAのキャンプでは、ベース盤でいかに強い球が投げられるか、どうライン出しをするかに取り組んできた。

「横浜市って広いんですね。キャンプ前に中華街に初めて行って、でっかい唐揚げ食べました」と屈託なく笑った26歳。2月24日の古巣との練習試合は1回3失点を喫したが、3月1日の中日とのオープン戦は1回をわずか6球で3者凡退に封じた。4日からは初めて本拠地・横浜スタジアムで試合が行われる。まだ見ぬ1軍のマウンドに立つために、勝負の毎日は続いていく。

(町田利衣 / Rie Machida)

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