支配下もわずか1年で自由契約…巨人20歳の“下剋上” 新打法で目指す再起「早く支配下に」

本塁打を放った巨人・中田歩夢【写真:小林靖】
本塁打を放った巨人・中田歩夢【写真:小林靖】

巨人-阪神、ファーム新球場「開業記念試合」で巨人・中田が一発

 新球場1号は20歳の育成選手だった。巨人と阪神の2軍が対戦する互いのファーム新球場「開業記念試合」が8日、東京都稲城市のジャイアンツタウンスタジアムで行われ、巨人が9-1で快勝。8回には中田歩夢内野手が左越え3ランを放った。

 ジャイアンツタウンスタジアム3試合目でついに本塁打が飛び出した。リードを5点に広げた8回2死一、二塁。中田はカウント2-0からの148キロのツーシームを捉え、左翼席に運んだ。1、2日の巨人-ヤクルト戦では両軍アーチなし。新球場にボールが飾られることになるメモリアル弾を放った3年目の若武者は「うれしいです。でも自分でいいのかなって感じです」と笑みを浮かべた

 2022年の育成ドラフト4位で入団。2年目の昨季は高い守備力を含めてキャンプでアピールに成功して、3月に支配下登録を勝ち取った。だがシーズンでは1軍に昇格できず。2軍でも91試合で打率.191、1本塁打、15打点に終わり、オフに育成選手へと逆戻り。ジェットコースターのように短期間で浮き沈みが激しい生活から早く脱却したい思いは強い。

 課題の打撃力アップへ、昨秋から矢野謙次2軍打撃チーフコーチとフォームを見直し。「逆方向へも強い打球を打てるようにバットの入れ方、角度を変えました。振り遅れても、面が長くなるからファウルにならないし、強い打球が打てるようになって少しずつ成果が出ている」と右手で押し込むような“新打法”に手応えを掴みつつある。

 この日は打者有利のカウントで直球系を狙いすました一発。逆方向ではなく、引っ張った当たりだったが、何より欲しいのは結果だ。「そろそろイースタン・リーグが開幕するけど、自分の中では調整じゃなく、何とかアピールして1日も早く支配下になりたい。リーグ制覇で喜んでいる先輩たちを見て、自分も交じりたいと思ったので、今年は自分もそこに入れるように頑張りたい」と意気込む。

 巨人の新球場開場は40年ぶり。人工芝のグラウンドは東京ドームと同サイズで両翼100メートル、中堅122メートル、左中間と右中間は110メートル。フェンスの高さ4メートル24センチも同じ高さとなっている。中田の一撃は東京ドームでも柵越えとなる当たり。再びの“下剋上”へ大きなアピールとなった。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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