「リリーフ承知してくれるなら…」 WBCへ専門家激推し、急浮上した「切り札」右腕

MAX155キロ速球とフォークの2球種だけでオランダ打線を2回パーフェクト
来年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で使えるのは、この投手だ──。野球日本代表「侍ジャパン」は来年3月、大会連覇をかけて第6回WBCに臨む。前哨戦として今月5、6日に京セラドーム大阪で行われた「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本VSオランダ」では、WBCでキーマンとなりそうな投手が浮上した。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が指摘する。
来年のWBCでは、先発や第2先発(先発投手が不調や球数制限で早い回に降板した場合のロングリリーフ)要員として、メジャーリーガーを多数招集したいところだ。
「大谷(翔平投手=ドジャース)は昨年11月に左肩を手術した影響で、投手復帰のプログラムがスローダウンしているだけに、来年のWBCでも投手としては無理をさせられないと思います。そうなると、(山本)由伸(投手=同)と(佐々木)朗希(投手=同)にはぜひ来てほしいでしょうし、ダルビッシュ(有投手=パドレス)、今永(昇太投手=カブス)、復活しそうな千賀(滉大投手=メッツ)も呼びたいでしょう」と野口氏は指折り数える。
「これにオランダ戦で好投したオリックス・宮城(大弥投手=5日の第1戦に先発し3回無安打無失点)、西武・今井(達也投手=第1戦の4番手で2回無安打無失点)、さらに巨人・戸郷(翔征投手)、中日・高橋宏斗(投手)あたりが加われば、強力な先発陣が出来上がると思います」と付け加えた。
課題の中継ぎ左腕では中日・橋本、日本ハム・河野が好投
「試合の最後を締める役割は、巨人・大勢(投手)や広島・栗林(良吏投手)といったリリーフのスペシャリストに任せた方がいいけれど、勝敗を左右しそうな試合中盤の重大なピンチに出ていって三振を取れる切り札として、種市にいてほしい」と力を込める野口氏。ロッテでは先発ローテの柱だけに、「シーズンとは違う起用法を球団が許可し、本人がOKしてくれれば、の話」としつつ、「あのスピードとフォークがあればこそ、任せたい役割です」と惚れ込んでいる。
オランダ戦2試合は侍ジャパンにとって、課題の中継ぎ左腕の発掘もテーマの1つとされていた。中日・橋本侑樹投手は第1戦の5回に登板し、先頭打者にストレートを左翼フェンス直撃二塁打されたものの、右打者の内角を鋭くえぐるスライダーで後続を断った。日本ハム・河野竜生投手は第2戦の6回に登板し、3者凡退に仕留めた。
野口氏は「橋本の独特のスライダーは、初見では打てないと思います。河野はゆったりした2段モーションだが、足を上げてからが速く、テークバックも小さいので、これも初見ではタイミングを取りづらい。2人とも国際大会で通用するものを見せてくれました。パドレスの松井(裕樹投手)、昨年11月のWBSCプレミア12に出場して実績をつくった楽天・鈴木翔天投手を含め、WBCメンバーの有力候補になっていくでしょう」と“左殺し”の面々を分析する。
さらに「個人的には、巨人の高梨(雄平投手)をメンバーに選ぶのも面白いと思います」とも。確かに変則左腕の高梨は、日本でこそやや見慣れたが、外国の打者は大いに戸惑うかもしれない。
いずれにせよ日本の投手陣は絶妙のコントロールを誇り、総合力では世界一との評価もある。最強メンバーがそろうのを楽しみに待ちたい。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)