41歳で自己最速149キロの衝撃 平均140キロ台前半でも奪空振り率1位…左腕が残した伝説

和田毅氏が最大の武器としたストレート
2024年シーズン限りで日米通算22年間の現役生活に終止符を打った和田毅氏。2002年ドラフトでダイエー(現ソフトバンク)に入団した左腕は、ルーキーイヤーから華々しい活躍を見せ、2011年オフには海外FA権を行使して米球界に挑戦した。2016年にソフトバンクへ復帰し、NPB通算2099回2/3を投げて160勝89敗、防御率3.18をマーク。勝率.643は2000投球回以上を投げた投手で歴代5位だ。
最大の武器は、ストレートだった。投手は一般的に年齢を重ねるにつれて球速が徐々に低下していく。しかし、和田氏は2022年には41歳という年齢で自己最速の149キロを記録した。ただ、平均140キロ台前半という球速は、左投手ということを加味してもプロの世界では決して速い方ではない。それでもストレートが最大の武器だった理由は、球速以上の威力を発揮していたからだ。
昨季のパ・リーグ投手のストレート奪空振り率の平均値を見ると、球速が上がるほど奪空振り率も高くなっている。和田氏のストレートは140~144キロの範囲に当たり、その球速帯の平均奪空振り率は5.2%だ。しかし、和田氏の場合はその数字とはかけ離れたものになる。2021年の13.9%、2022年の12.5%はいずれもパ・リーグ先発投手でトップの数値だった。
渡米前から10%前後の好成績を残していたが、球速アップに伴って奪空振り率も良化し、晩年になって数字はリーグトップクラスに向上した。2023年1位(12.7%)の西武・平良海馬投手や、2021年1位(12.22%)だった日本ハムのドリュー・バーヘイゲン投手、2024年1位(12.19%)のオリックス・山下舜平大投手はいずれも平均球速150キロ以上を記録する速球派だ。球速に約10キロ差があるにもかかわらず、速球派を上回るほどの奪空振り率を誇った和田氏のストレートが、いかに異質なものであったかということが分かる。
メジャーでは度重なる故障に悩まされ、古巣復帰後も手術や左肩痛で1軍のマウンドに立てなかった期間があった。それでも最大の武器であるストレートを磨き続けることで、晩年まで持ち前の奪三振能力を維持。NPB通算奪三振は1901で、奪三振率8.15は歴代4位(通算2000投球回以上)だ。和田氏の引退試合は15日、みずほPayPayドームで開催される。「NPB最後の松坂世代」の雄姿を見届けたい。
(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)