“ライバル”獲得で「必要とされていない」 元DeNA助っ人退団の真相…貫く愛「戻りたい」

DeNAで6年半プレーしたエスコバー「みんなといい関係を築くことができた」
元DeNAのエドウィン・エスコバー投手は、今季からオイシックス新潟に加入し、2年ぶりに日本でプレーする。2023年限りで一度は日本を去った助っ人だが、日本やベイスターズへの愛は今も強い。
「ベイスターズに来た最初の日から最後の日まで覚えているくらい、自分にとってはいい思い出。選手だけでなく、みんなといい関係を築くことができた。本当にいい7年間を過ごすことができました」
2017年1月に日本ハムに加入。わずか半年後の7月にDeNAにトレード移籍した。すると「自信をつけさせてもらい、試合を追うごとに日本の野球に慣れて成長できた」と救援としてフル回転。2019年にはリーグトップの74試合に登板するなど、2018年から5年連続50試合以上登板を成し遂げた。
しかし2023年に40登板で防御率4.55にとどまると、同年限りで退団することになる。実は球団側は残留交渉をしていたが、エスコバーにとってはどうしても譲れないことがあった。
「年俸以外の部分で、望んでいる条件とは違いました。新しいリリーフの外国人を獲るということで、自分は1軍が確約されていない、必要とされていない感覚があったのがキッカケです。個人的な気持ちとしてはベイスターズに残りたかったですが、プロとして自分のやってきた経験やキャリアに誇りを持っていたので、それを活かせるチームを探しました」
「4か国でプレーしましたが日本のファンが一番。すごく応援してくれた」
NPBの他球団からのオファーもあったが、家族のことを考えて断念。カブスとマイナー契約を結び、7月に退団してからはメキシカンリーグのモンテレイ・サルタンズでプレーした。7月といえばNPBの補強の期限でもある。DeNA復帰を熱望していた左腕は球団関係者と話をしたというが「すでに枠はいっぱいと言われた。寂しい気持ちはあるが、ビジネスの一部だし、そういう世界だとわかっているので納得しています」。それでも再びNPBの1軍舞台を目指し、日本に帰ってくることになった。
今でも試合の結果をチェックしたり、同学年の山崎康晃投手とはテレビ電話をするなど“横浜愛”を持つ。「戻りたいと思っています」と率直な思いも明かす。それほどまでに心を動かしたことには「人がすごくよかった。同世代の選手も多くて仲良くさせたもらったし、7年という長い時間の中で、食事だったり球場以外の場所にも行った。そういう関係性がとてもよく、すべてが大切な時間だったんです。あとは4か国でプレーしましたが日本のファンが一番。すごく応援してくれました」と思い出したように微笑んだ。
一番に掲げていた「横浜復帰」はまだ叶っていないが、再び“第2の故郷”で腕を振る。32歳の挑戦には、熱い思いが宿っている。
(町田利衣 / Rie Machida)
