「納得できない」新人に容赦のないプロの洗礼 DeNAドラ1、2位コンビが生き残りへ正念場

本拠地初登板も「ストレートは球速も質も…」
即戦力として期待されるDeNAのルーキーコンビに、最初の試練が訪れた。開幕ローテ入りを狙うドラフト1位右腕・竹田祐投手(三菱重工West)は12日、本拠地・横浜スタジアムで行われた広島とのオープン戦に2番手で5回から登板し、2回2/3を投げ6安打2失点。同2位入団の右腕・篠木健太郎投手(法大)も1回2失点で、共に練習試合、オープン戦を通じ初失点となった。
竹田は大阪・履正社高、明大、社会人でキャリアを積んできたとあって、落ち着いたマウンドさばきと制球力は見せた。1イニング目の5回、1死から田村俊介外野手にストレートを右越え二塁打されるも、続くサンドロ・ファビアン外野手に外角低めのフォークでバットを折り、二直に仕留める。長距離砲の末包昇大外野手も、内角低めのフォークで三ゴロに打ち取った。
6回も先頭の堂林翔太内野手に内野安打を許しながら、続く左打者の韮澤雄也内野手に外角低めのフォークを打たせて、遊ゴロ併殺で切り抜ける。
しかし7回1死満塁のピンチで、途中出場の矢野雅哉内野手を二ゴロに打ち取ったが、遊撃手から一塁への送球がやや高く浮き、併殺はならず失点。いったん「アウト」(併殺)と判定され、広島・新井貴浩監督のリクエストで覆ったほど、微妙なタイミングだった。続く末包に外角低めのスライダーを拾われ、適時二塁打とされたところで降板。目安にしていた3イニングを全うすることができなかった。
竹田は本拠地初登板を「納得いく投球が全然できなかった。特にストレートは球速も、質も、自分としては納得のいく球ではありませんでした」と振り返る。最速153キロの触れ込みだが、この日は145キロが最速で、3イニング目には140キロを切るストレートもあった。この日の“ハマスタ”には小雨が降り続き、マウンドの土が緩かったことも影響したかもしれない。
ドラ2篠木も先頭打者に被弾、監督は「全ての経験がプラス」
三浦大輔監督は「コーナーにしっかり投げられていました。走者を出してから、もうひと踏ん張りできればというところでしたが、いい経験になったのではないでしょうか」とあくまで前向きに評した。
とはいえ、今年のDeNAの先発陣は層が厚い。開幕投手を務めることが決まっている東克樹投手、2年ぶり復帰のトレバー・バウアー投手、アンドレ・ジャクソン投手、この日先発して4回無失点に抑えたアンソニー・ケイ投手まで、4人は開幕ローテ入りが確定的。昨年まで中継ぎの伊勢大夢投手も先発に転向し、過去に2度2桁勝利している大貫晋一投手、プロ1年目の昨年4勝を挙げた石田裕太郎投手らがめじろ押しである。新人の竹田が開幕ローテ入りを狙うなら、今後失敗は繰り返せない状況だ。
一方、これまで打者の手元で伸びるストレートを武器に、短いイニングで好投を重ねてきた篠木。この日は9回の代わり端、先頭の田村にいきなり初球の真ん中寄りの146キロをとらえられ、右翼席へソロを被弾した。続く矢野にも四球を許し、末包にはスライダーを左翼線へ二塁打とされ、代打の小園海斗内野手に中犠飛と、相手の勢いを止めることができなかった。
こちらも雨の影響がうかがえ、三浦監督は「雨のハマスタのマウンドを経験できた。結果どうこうより、ルーキーなので全ての経験をプラスに変えて、勉強しながら次に生かせると思います」とうなずいた。
確かに新人にとっては失敗も貴重な経験だが、一方で開幕1軍枠をめぐる争いは熾烈を極め、絞り込みが始まっているのも事実。悔しさを次回登板にどう生かすかが問われる。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
