「ドン底」の中日が持つ強み” 元監督が指摘…カギ握る3要素「どれだけ変わるか」

中日・井上一樹監督【写真:小池義弘】
中日・井上一樹監督【写真:小池義弘】

落合監督時代にはコーチと選手として、ともに優勝を経験

 中日は今季、井上一樹新監督を迎え、3年連続セ・リーグ6位からの巻き返しを期す。元中日監督で、西武、日本ハム、横浜でも豊富なコーチ経験を持つ森繁和氏は、就任1年目の井上監督について「1度(中日の)外で違うユニホームを着ていること、そして戻ってきて2軍監督をしたことに強みがある」と話す。

 立浪和義前監督からのバトンを受けた井上監督を、森氏は親しみを込めて「一樹」と呼ぶ。落合博満監督時代には投手、バッテリー、ヘッドコーチを歴任した森氏は、中日一筋20年の現役生活を送った井上監督とともにリーグ優勝と日本一の喜びを味わった。2025年のスローガンに「どらポジ」(ドラゴンズ+ポジティブ)を掲げた指揮官について「本人が明るく楽しくをモットーとする性格」とした上で、開幕後に連敗となった時こそが腕の見せ所だという。

「誰だってキャンプ中は『明るく楽しく元気よく』できるし、どんなチームだって勝っているときは雰囲気がいい。当たり前。じゃあ、シーズンに入って負けが込んだ時に同じことができるか。選手が自分の力を出せるような環境作りを優先しながら、どう盛り上げていくのか。本当はコーチやスタッフがやるのが理想だけど、監督自らやろうという気概が見えるだけに、シーズン途中で体が持たなくなるんじゃないか、それが心配ですよ(苦笑)」

 2軍監督から1軍監督に昇格し、低迷するチームの活性化を任された。この状況は、2021年に前年リーグ6位から優勝へと引き上げたオリックスの中嶋聡前監督と重なる部分がある。

「条件としては近いね。中嶋は現役時代、阪急からオリックス、西武、横浜、日本ハムでプレーして、引退後も色々なコーチ経験を積んで2軍監督になった。一樹の場合、現役時代は中日だけだったけれど、コーチでは1度阪神で違うユニホームを着て、戻ってきてから2軍監督をしたことに強みがある。外から客観的に見た後で、選手を育てることができたことは大きいでしょう。

底上げに必要な「ルーキー、ベテラン、外国人が目立つこと」

 監督が新しくなると、レギュラーではなかった選手、試合に出られなかった選手は、今までの状況に区切りをつけて、新たなスタートを切ることができる。チャンスをくれるんじゃないかと必死になるわけですよ。ただ、新監督が他所から来たり、2軍で一緒にやったことがなかったりすると、選手を理解した上でチームを作るには時間がかかってしまう。そこは2軍監督だった人であれば選手を一通り知っていて、いい状態も分かっているからね。

 落合監督が優勝して以来、ずっとBクラス。ここ3年は最下位でドン底のチームを引き受けたわけだから、新しいことに思い切ってチャレンジできる。もし違うと気付いた時にどう動けるか。今回はコーチ陣に中日OB以外のメンバーを連れてきたのも考え方としてはいいですよ。当然負ければキツいことを言われるだろうけど、まずはAクラス入りから一歩ずつ積み上げて、3年でどれだけ変わるか、長く見る必要はあると思います」

 森氏は大前提として「弱いから監督が代わったわけだけど、プレーするのは選手。監督やコーチが一生懸命やっても、最終的には選手にかかっている」と話す。オフには4年連続140イニング以上を投げた小笠原慎之介投手が海を渡り、通算166セーブの守護神、ライデル・マルティネスは巨人へFA移籍した。彼らが抜けた穴を埋め、チーム全体の底上げを図るには「ルーキー、ベテラン、外国人が目立つこと」を条件に挙げる。

「この3つが目立つようになると、中日は勢いに乗れますよ。ルーキーで言えば、1位の金丸(夢斗)や2位で左の吉田(聖弥)、去年のドラフト1位・草加(勝)あたりがポンと出てくる。ベテランで言えば打者は大島(洋平)や中田(翔)、投手は涌井(秀章)や大野(雄大)あたり、外国人では新しく来た投手のマラーや打者のボスラーが上手く噛み合って、レギュラーを争う内外野手が普通の活躍をしてくれれば、Aクラスは狙えると思う。ただ、全部がいい状態で噛み合うことはほとんどないから、2軍にいた人は1軍出場を目指して、1軍で出られなかった人は1打席、1試合、1安打、1本塁打、1勝を積み上げて、自分の状況に応じたレベルアップすることが今、一番大事じゃないかと思いますよ」

 新生・井上ドラゴンズはどんな船出を切るのか。注目の2025シーズンは28日、敵地でのDeNA戦で幕を開ける。

【CLUBHOUSE 森繁和・福留孝介TALKLIVE】
球界を代表するレジェンドOBの森繁和氏、MLBでも活躍した福留孝介氏をゲストに迎え、中日の大ファンであるダイノジ・大谷ノブ彦がMCを務めるトークショー。3月18、19日に開催される「MLB東京シリーズ」の振り返りや、今季NPBの展望など盛りだくさんで、両氏のサイングッズが当たる抽選会も実施予定。

○日時 2025年3月20日(木)17時~約90分予定(16時開場)
○場所 TOKYO FMホール
〒102-0083 東京都千代田区麹町1-7 FMセンター2階
○出演者 森繁和(野球解説者/中日ドラゴンズ 元監督)、福留孝介(元メジャーリーガー)、ダイノジ・大谷ノブ彦(お笑い芸人/中日ドラゴンズファン)
○内容 トークショー(約50分)、質問コーナー(約20分)、プレゼントコーナー(約20分)
○チケット 前売S席:11,000円 A席:7,700円 各種チケットサイトで販売中

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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