来日したカブス40歳「素敵な国」 思い出した約束…記者には“お願い”「マサに送って」

カブス・ターナーと吉田正尚が“結んだ”日米の架け橋
不惑を迎えたベテランが、日米野球の架け橋となった。カブスのジャスティン・ターナー内野手が14日、東京ドームで行われたチーム練習に参加。「MLB Tokyo Series presented by Guggenheim」に向けて調整を行った。「日本に来ることができて本当にハッピーな気分だよ」。13日に来日した際はホテルで浴衣を着た姿を披露するなど、異文化を楽しんだ。
日本の野球に興味を持ち始めたのは、レッドソックス・吉田正尚外野手の存在が最も大きな理由だった。2年前、ターナーはレッドソックスでプレー。当時、同僚だった“マサ”を「バットコントロールと打席での目(が良い)ですね。ストライクゾーンとボールゾーンをきっちり見極められる。凄く良いところだと思う。むやみに振らないから、三振を取られる数も少ない。打撃も、もっと評価されていい」と絶賛していた。
打順も前後に据えられることも多く、モットーを「全力疾走」とすることから、2人の野球勘は意気投合していた。2年前の7月中旬、ターナーは吉田から“ある願い”を託された。NPBでプレーする巧打者から「ターナーのユニホームが欲しい」と依頼を受けていた。
ターナーは背番号「2」の部分に“懇願”した選手の名前を書き、自身のサインと「good luck!」と刻んだ。国際郵送で届けることも可能だったが「確実に、その選手に届いてほしい」という思いから、貴重なユニホームは関係者がきっちりとスーツケースにしまい、帰国後に手渡した。
あれから2年。お礼を伝えられたターナーは「ああ、覚えているよ!」と目を見開いた。「無事に届いたなら良かった。未来ある野球選手に少しでも勇気を与えられたらと思ってね」と蓄えた顎髭を撫でる。
「その選手、今日、東京ドームに来てる? もしよかったら会いたかったな。いつでもウェルカムだと伝えてください。僕も、自分のユニホームが欲しいと言ってもらえたことが誇らしいんだ」
最後には“戦友”を思いやった。「マサは元気? 写真、送ってくれるかな? 一緒に『マッチョポーズ』をしよう……パワー!」。カメラマンを見つけると、分厚い二の腕で肩を抱き、記念の1枚をパシャリ。「マサに送っておいてくれ。日本は素敵な国だとメッセージも忘れずに!」。グラウンド発信の国際交流が、日米の絆を強くする。スポーツは、温かい心で成り立っている。