2年連続2点台→14.54の大不振 初の首位打者&MVPも…2024年侍J組の明暗

日本ハム・根本悠楓(左)とソフトバンク・近藤健介【写真:荒川祐史、冨田成美】
日本ハム・根本悠楓(左)とソフトバンク・近藤健介【写真:荒川祐史、冨田成美】

2024年3月に「侍ジャパン」が行った欧州代表戦

 2024年3月に野球日本代表「侍ジャパン」が行った欧州代表戦には、明大の宗山塁内野手(現楽天)や青学大の西川史礁外野手(現ロッテ)を含めた、当時大学生だった選手が4人抜擢されたことが話題を呼んだ。当時の代表メンバーたちは、はたしてシーズン開幕後にどのような成績を残したのだろうか。今回は同代表に選ばれた選手のうち、パ・リーグ球団に在籍した選手たちの成績を紹介。開幕後に見せた活躍についてあらためて振り返っていきたい。

 宮城大弥投手(オリックス)は故障の影響でわずかに規定投球回に届かなかったが、防御率1.91とキャリア初の1点台を記録。シーズン最終戦まで最優秀防御率の可能性を残す快投を見せ、奪三振率も8.83と1軍定着以降では最高の数字を記録した。隅田知一郎投手(西武)はプロ3年目で初めて規定投球回に到達し、リーグ2位となる179.1投球回を記録。防御率も2.76と初の2点台に到達した。2年連続で9勝と惜しくも2桁勝利には手が届いていないものの、着実な成長を見せて主戦投手としての座を確固たるものにしている。

 種市篤暉投手(ロッテ)も怪我によって1か月近い戦線離脱を経験したが、プロ8年目でキャリア初となる規定投球回に到達。防御率は3.05と2桁勝利を挙げた2023年よりも優秀な数字を残し、奪三振率9.04と2年続けて投球回を上回る奪三振数を記録。2年連続の2桁勝利こそ逃したものの、先発陣の中心の一人としてチームのAクラス入りにも貢献した。平良海馬投手(西武)は先発として開幕ローテーション入りを果たし、5試合に登板した時点で防御率1.42と好投。故障による長期離脱後は救援に回り、17試合で9ホールドをマーク。年間防御率も1.66と、持ち場を問わないマルチな才能を発揮した。

 2023年の新人王・山下舜平大投手(オリックス)は前半戦こそ苦しんだが、8月以降は2か月連続で月間防御率1点台。新シーズンの完全復活に大きな期待を持たせた。渡辺翔太投手(楽天)も防御率こそ前年に比べて悪化したものの、49試合に登板して7勝12ホールドを記録し、2年続けてフル回転を見せた。根本悠楓投手(日本ハム)は2022年から2年連続で防御率2点台を記録していたものの、2024年は2先発で防御率14.54と極度の不振に陥った。高卒5年目の21歳とまだ若いだけに、2025年は再び1軍で存在感を発揮したい。

紅林は自己最多タイの136試合に出場、不動の遊撃手として奮闘

 野手では近藤健介外野手(ソフトバンク)が本塁打と打点の2冠王に輝いた2023年の活躍に続き、2024年もOPS.960と投高打低の影響を感じさせない成績を残した。打率.314でパ・リーグ唯一の3割打者となり、自身初の首位打者、4度目の最高出塁率、リーグMVPに輝く圧倒的な打棒を披露し、チームのV奪還の原動力となった。万波中正外野手(日本ハム)はやや成績を落としたものの、打率.252、18本塁打、OPS.735と一定の数字を記録。「2024 パーソル クライマックスシリーズ パ」のファーストステージ第2戦では9回に起死回生の同点弾を放つなど、主力としてチームの躍進に大きく貢献した。

 源田壮亮内野手(西武)は近年故障に悩まされるシーズンが続いていたが、2024年は4年ぶりに全試合出場を達成。チームトップの打率.264を記録し、7年連続となるゴールデングラブ賞に輝くなど、チーム全体が苦戦する中で攻守にわたって奮闘した。紅林弘太郎内野手(オリックス)は故障者が相次ぐチームで自己最多タイの136試合に出場した。打率も.247とキャリア平均打率(.244)と同程度の数字を記録。例年通りに不動の遊撃手を務め、安定した働きを見せてチームを支えている。古賀悠斗捕手(西武)は2年連続で100試合以上に出場し、主力捕手としての地位を固めた。打率.228と確実性には課題を残したものの、守備面ではリーグ3位の盗塁阻止率.323を記録した。

 平良をはじめとして故障に悩まされた選手も少なくなかったが、宮城と隅田はキャリア最高の投球内容を見せ、種市も前年以上に優秀な防御率を記録。山下と渡辺もシーズン序盤の苦戦を経て終盤戦で復調を示しており、2試合の登板にとどまった根本を除けば、投手陣はいずれも一定以上の活躍を示したといえよう。野手では近藤がそれぞれキャリア初となる首位打者とリーグMVPのタイトルを獲得し、2冠王に輝いた前年に匹敵するシーズンを送った。源田、紅林、万波の3人もチームの中心的存在として奮闘し、古賀も主戦捕手としての足場を固めるなど、いずれも主力としてチームを支える働きを見せていた。

 今年3月の侍ジャパンに選出された選手たちも、前年に選ばれた面々と同様に、シーズンに入ってからも各球団の主軸として活躍を続けられるか。前年の代表入りを経て、いよいよルーキーとしてプロの世界に足を踏み入れる宗山と西川の活躍も含め、各選手のプレーぶりに対してこれまで以上に注目する価値は大いにあるはずだ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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