山下舜平大「地味ですが」…進化に重要な継続性 剛腕が声を潜める“本当の理由”

オリックス・山下舜平大【写真:小林靖】
オリックス・山下舜平大【写真:小林靖】

オリックス・山下舜平大「地味ですが、基礎的なことが結構、大事なんです」

 千鍛万練で前進する。オリックスの山下舜平大投手が、計画的なトレーニングでさらなる飛躍を遂げようとしている。「良い球を投げられて、良いピッチングができるのなら、なんでもする価値はあります。今、元気なんで。普通に楽しいんです」。屈託のない笑みを浮かべた。

 退寮した大阪・舞洲の球団施設で毎日のように山下の姿を見たが、宮崎のキャンプ地でも同様。休日自主トレの常連だ。個人練習は「パワー系、上半身のウエート、下半身のウエート、瞬発系」の4日間のメニューが1セット。休日でも球場を訪れるのは、継続して体を動かす必要があるからだった。

 昨年末から、陸上男子200メートル障害の元アジア記録保持者で、スプリントコーチの秋本真吾さんの指導を受けている。年末に日帰りメニューを教わり、年明けには秋本さんが来阪。陸上競技場を借りて本格的なトレーニングを始めた。「走るのが苦手で。トレーニングの1つなのですが、まず股関節の使い方や走り方から教えていただきました。運動の基礎なので、そこが崩れるとフォームにも多少は影響するかと思ったのが理由です」。

 舞洲では、約10メートルの間に高さ約30センチの小さなハードルを6つ置き、太ももを大きく上げて越したり、股関節を回すように足を持ち上げたり、小走りで駆け抜けるなど地味な動作を繰り返していた。

 効果を尋ねると「投球に変化ですか? すぐに変わってよくなれば苦労しませんよ。地味ですが、基礎的なことが結構、大事なんです。継続して、いろんなパフォーマンスが上がればプラスなんです」と、継続の重要性を説く。

 成長に伴って苦しめられてきた腰痛対策としても考えている。「鍛えることもテーマですが、股関節が使えるようになれば腰にきていたものが、そこの可動域でカバーすることができるのではと思っています」と明かす。

 春季キャンプでは故障明けとは思えないほど順調で、150キロ台後半を投げ込んだ。「キャンプ中に160キロを出してみせる」という“公約”は果たせなかったが「投球そのものは形になってきています。出力を出せるバランスになってきたら、トレーニングをしてきたことを出せばと思っています。チームの中で1番、結果を出したいと思って誰もがやっていると思います。そこは(僕も)変わりません」。大器が、さらに大きく羽ばたく。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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