中日は「昨年よりは強い打線」 OBが挙げた浮上へのキーマン…開幕スタメン予想

中日・井上一樹監督【写真:栗木一考】
中日・井上一樹監督【写真:栗木一考】

元中日捕手で1982年にMVPを獲得した中尾孝義氏

 今月28日に開幕を控えているプロ野球。昨季まで3年連続最下位の中日に、浮上の目はあるのか――。元中日捕手で1982年にMVPを獲得した野球評論家・中尾孝義氏が、開幕スタメンを予想。井上一樹新監督が期待する石川昂弥内野手を「キーマン」に指名した。

「井上監督就任で、チームの雰囲気が変わったのは間違いない。良くも悪くも、立浪(和義)前監督は恩師である故・星野仙一氏にならって、厳しさを前面に打ち出していました。だが、僕を含めた昭和世代の人間と違い、今どきの選手は上から押さえつけて反発力に期待するより、のびのびやらせた方がいいようです。昨季も立浪前監督の辞任表明後、少し勝ち始めましたからね……」。中尾氏はそう指摘する。

 立浪前監督が辞任を表明したのは、昨年9月18日の阪神戦(バンテリンドーム)の試合後だった。昨季トータルで60勝75敗8分(勝率.444)に終わった中日だが、立浪前監督の辞任表明後に限ると、6勝3敗(同.667)でシーズンを終えている。

 とはいえ、今年もただでさえ苦しい戦力から、絶対的守護神だったライデル・マルティネス投手が巨人へ、先発の柱の1人だった小笠原慎之介投手がポスティングシステムでMLBのナショナルズへ流出した。さらに、オープン戦打率.333で期待が高まっていた新外国人ジェイソン・ボスラー外野手も、ここにきてコンディション不良で開幕に間に合わないという。

 今月28日のシーズン開幕戦は、敵地・横浜スタジアムでDeNAと対戦。開幕投手は味方が高橋宏斗投手、相手が左腕の東克樹投手と公表されている。中尾氏は中日の開幕スタメンを「1番は岡林(勇希外野手)。成長著しい福永(裕基内野手)には本来3番を打たせたいところですが、左打者の岡林の後に右打者を置いてジグザグにしたいので2番。3番は左打者で実績のある大島(洋平外野手)に任せたい」と持論を述べる。相手投手によっては、「2番・遊撃」に左打ちの村松開人内野手、3番に福永を置く形も有効と見る。

昨季86試合で4番を務めた細川はリーグ4位の打率.292、23本塁打をマーク

 問題は4番だ。井上監督はオープン戦でもっぱら、ドラフト1位入団で6年目を迎えた23歳の石川昂を置いている。石川昂の潜在能力の高さは関係者の誰もが認めるが、昨季は82試合出場、打率.272、4本塁打25打点。4番にふさわしい成績を残したとはいえない。

 一方、中日には昨季チーム最多の86試合でスタメン4番を務め、全143試合に出場、リーグ4位の打率.292、23本塁打67打点の好成績を挙げた細川成也外野手がいる。“4番・石川昂”構想には賛否両論が巻き起こっている。

 中尾氏は「細川のここ2年間の成長は確かに素晴らしい。しかし、引っ張りにかかると左肩の開きが早くなり、併殺打におあつらえ向きの内野ゴロを打ってしまうケースも多い」と指摘。「現時点での実績はもちろん、細川の方がずっと上ですが、石川昂の将来性に期待して4番として育てたい、細川を5~6番に置いた方が打線に厚みができる、という考えはよくわかります」と理解を示す。

 近年は貧打のイメージが定着し、昨季もチーム打率こそリーグ3位の.243をマークしたものの、373得点は同ワーストだった中日。“現状維持”では未来がない。石川昂の伸びしろにチームの浮沈を懸けるということか。

 それだけに「石川昂がキーマン。彼が4番でどれだけ打てるかに懸かってくる」のは間違いない。中尾氏は「打率.280前後、20本塁打は打ってほしい。打点は前を打つ打者の出塁率次第という部分がありますが、100以上を期待したいですね。それくらいの力は持っています」と高いノルマを課す。

 右打者の石川昂の後ろに、左のボスラーを置き、右の細川の打順を6番まで下げる構想もあった。しかし助っ人の故障で、当面は無難に“5番・細川”となる可能性が高そうだ。

 中尾氏の開幕スタメン予想に名前が挙がらなかった中にも、中田翔内野手、上林誠知外野手といった強打者が控えている。「昨年よりは強い打線になると思います」と中尾氏は予想するが、最下位脱出に結びつくかどうか……。

【予想スタメン】4番には石川昂弥…監督交代で「のびのびやらせた方がいい」 OBの中日開幕スタメン予想

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