カブス番記者を虜にした“日本の文化” 空港から衝撃の連続、新鮮に映った光景

日本の光景がカブス番記者を虜にしたようだ【写真:Getty Images】
日本の光景がカブス番記者を虜にしたようだ【写真:Getty Images】

カブス地元紙シカゴ・トリビューンのメガン・モンテムーロ記者が語る東京シリーズ

 3月18、19日に開催されたカブスとドジャースによる「MLB Tokyo Series presented by Guggenheim」。ビッグイベントに合わせて海外からも多くの記者が殺到した。カブス番記者を務める地元紙シカゴ・トリビューンのメガン・モンテムーロさんもその一人。試合から数日経ても、日本に熱狂を起こした日々を「記者人生のハイライトになる」と昨日のことのように思い出す。

 メジャー取材歴14年のメガンさんは、2023年に開催されたカブスとカージナルスによるロンドン・シリーズも取材した。大前提としてイギリスと日本の野球人気は比較にならない大差があるが、成田空港に降り立った瞬間、そして都内へ移動するバスの車窓から、すでに熱狂の違いが感じられたという。

「ロンドンでは試合会場だったロンドンスタジアム付近でしか、ロンドンシリーズの広告やバナーを見ることはありませんでした。しかも、観客の大半はアメリカから旅行を兼ねてやってきたカブスやカージナルスのファンや、ヨーロッパに住むアメリカ人。純粋なイギリスやヨーロッパで生まれ育った人がどれだけ観に来たか、そこは疑問が残りましたね」と振り返る。

 しかし、日本での光景は全く違った。「でも、日本では空港からホテルへ向かう道中からすでに、次から次へとオオタニやドジャース、カブスの広告が目に飛び込んでくる。ファンだけではなく、東京の街が開催を心待ちにしているように感じました」。

 日本では世界的人気を誇る現代アーティストの村上隆氏とコラボしたユニホームやTシャツ、キャップなどの限定グッズを販売し、大人気を博したことが話題になったが、ロンドンでは「特になかった」と振り返る。「街中でメジャーグッズを身につけている人たちをたくさん見かけました。東京でのファンの巻き込み方は段違い、ファンのエキサイトぶりもロンドンとは桁違いでした」と続ける。

 また、日本独自の“文化”も心を鷲づかみにした。驚いたのはプレーシーズンゲームの巨人、阪神戦でのことだった。メガンさんは「応援団で埋め尽くされた右翼スタンドの応援は想像をはるかに超えるものでした」と目を見開いた。

「阪神と巨人との練習試合で繰り広げられた日本スタイルの応援は、何よりも印象深く心に残っています。話には聞いていたけれど、NPBファンの熱狂的な応援を実際に見るのは初めて。選手や状況によって応援歌やコールが違うなんて、どこまで創造力に溢れるのか、驚きを通り越して唖然としてしまったほど。間違いなく、今回の東京遠征で最高の思い出になりました。しかも、MLB開幕シリーズになると物音1つしなくなる、あの切り替えの素晴らしさは、カブスの選手たちも驚いていました」

 日本人選手はもちろん、日本でプレー経験を持つ選手や仲間の米国人記者たちから、たびたび「日本の野球を一度体感した方がいい」と勧められいたという。「みんなの言うことは正しかった。聞きしに勝る日本の野球ファンの熱狂を体感できたことは、記者人生のハイライトになります」と満面の笑みだ。日本に旋風を巻き起こした東京シリーズは、同行した記者の心にも大きな衝撃を与えたようだ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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