宗佑磨が抱えた苦悩「野球人生で一番悪い状態」 不振経て掴んだきっかけ「勝負ができる」

宗佑磨「僕のいいところは長打も打てること」
緊褌一番、11年目に臨む。オリックスの宗佑磨内野手が、新たな思いで「三塁」の定位置確保を目指している。
「(三塁を)完全に失ったという感覚はありません。今までは実力で出ていたところもありましたが、(昨季は)僕の調子が悪くて他の人が出ていたという感覚。これからはそういうものが一掃されて過去の実績などが関係なくなって、いい意味で勝負ができると思っています」。2024年シーズンを振り返り、新たな決意を示した。
横浜隼人高から2014年ドラフト2位で入団。一度は出場機会を求めて外野に挑戦したが、内野に再転向し2021年からは3年連続してベストナイン、ゴールデン・グラブ賞に輝いた。
しかし、昨季は打撃不振(.235)で97試合出場にとどまった。「今まで続けていたことを振り返って、いい時の感覚を出そうとしていたのですが、目の前の結果を欲しがって小手先に走ってしまうことが多かった。体も変わってきますし、昔と同じようなことをしていても、これ以上進化はないんだろうなとは思っていたんですが」と振り返る。
「途中でどうしたらいいのか、わからない状態に陥ってしまいました。野球人生で一番、悪い状態が続いた1年でした」という中で、復調のきっかけをシーズン終盤につかんだという。「僕のいいところはしっかりスイングができ、長打もしっかり打てることだと思っています。でも、結果ばかりに気を取られて年々、単打ばかりの成績になってきているのに気が付いて。それからは、弱点を消すのではなく長所を伸ばそうという考えになりました」。
「結果を出した選手を使う」という岸田護監督の就任も、刺激となった。「俺たちが中心になってやらなきゃいけない」と頓宮裕真捕手と話し、主将に手を挙げた頓宮をサポートする立場に。「優勝を目標に掲げるためには、同じ方向を向いている選手がプレーをしていないと、バラバラになってしまいます。レギュラーを中心にまとまっていきたいですが、言っている人の説得力がないと若手がついてこないと思うんで」。背中と数字でチームを引っ張る。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)


