球団ガイドの表紙に登場 イチロー氏を包む祝福ムード…ファンが待ち焦がれる“栄光の時”【マイ・メジャー・ノート】

イチロー氏は開幕戦で始球式に登場…速球は135キロを計測した
マリナーズで会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏が27日(日本時間28日)、本拠地で行われたアスレチックスとの開幕戦前に始球式を行った。午後7時3分、マウンドに立つと、ゆったりとしたモーションから大きく腕を振り、51歳とは思えぬ84マイル(約135キロ)の速球を高めに投げ込んだ。
三塁側のビジターベンチでは、アスレチックスのコッツェイ監督以下選手たちがユニホーム姿のイチロー氏の投球を見届けた。中腰で構えたダン・ウィルソン監督のミットに熱のこもったボールが収まると、総立ちのスタンドは歓喜に包まれた。
昨季途中から指揮を執るダン・ウィルソン監督は、かつてランディ・ジョンソンとバッテリーを組んだリーグを代表する名捕手。イチロー氏とは2001年から2005年まで共にプレーした。2日前に56歳の誕生日を迎えたウィルソン監督は試合前、この日の始球式についてこう語っている。
「今日のこと(始球式)は間違いなく球団史に添えられる小さな物語になるだろう。今年、クーパーズタウンの殿堂入りとマリナーズの永久欠番も決まった。この球団でずっと貢献し続けているそのイチローとフィールドに一緒に立てることはとても光栄なこと。でも、捕球するのは私だ。速い球でないことを願っているよ(笑)」
イチロー氏がT-モバイル・パークで始球式を行うのは2022年4月15日(同16日)以来3年ぶり。その時もマリナーズの本拠地用のユニホームを着てマウンドに上がり、愛弟子のフリオ・ロドリゲス外野手を相手に渾身の投球を披露している。
マリナーズの2025年メディアガイドで表紙を飾るイチロー氏
イチロー氏は今年1月21日(同22日)、有資格1年目で満票に1票足りない得票率99.7%(394票中393票)でアジア人初のアメリカ野球殿堂顕彰者となった。7月27日(同28日)には、ニューヨーク州クーパーズタウンで行われる殿堂入り式典に臨む。
今季のマリナーズはイチロー氏の栄えある殿堂入り祝福ムードに包まれている。選手の成績や球団の歴史など様々なデータを掲載するメディアガイドの表紙になるのは現役の看板選手が通常だが、2025年版のマリナーズ・メディアガイドの表紙はイチロー氏が占める。
8月5日(同6日)から「イチロー殿堂入りウィークエンド」が開催され、背番号「51」の永久欠番セレモニーや、2004年に年間262安打を放った際にイチロー氏が着用していたレプリカジャージやクーパーズタウンのレプリカ表彰楯のプレゼントなど、盛りだくさんな6日間が控えている。
始球式前、中堅後方の大画面には7月の殿堂式典までを示す「122Days」のバナーが映し出された。シアトルのファンは栄光の時を待ち続ける。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)
