山崎颯一郎が見失ったフォーム 160キロ復活へ…繰り返す試行錯誤「少しずつ」

山崎「ちょっとずつ上がっていけばいい」
オリックスの最速160キロ右腕、山崎颯一郎投手が球速を取り戻そうと、試行錯誤を繰り返し復活への道を少しずつ歩んでいる。「いらんことを考えず、打者に向かっていきました。少しずつでいいんです、良くなっていけば」。本拠地で行われた3月7日の巨人とのオープン戦後、山崎の顔に少しだけ明るさが戻った。
9回に7番手で登板。ドラフト3位の新人、荒巻悠内野手を150キロ内角高めのストレートで空振り三振、岡田悠希外野手もカーブ2球で追い込み3球目に152キロの同じような球で連続して空振り三振を奪った。ドラフト2位ルーキーの浦田俊輔外野手に二塁打を許したものの、8年目の大城卓三捕手を見逃し三振に仕留めた。
2016年ドラフト6位で入団。2023年は53試合に登板し、チームの3連覇に貢献したが、8年目の昨季は上半身のコンディション不良で7試合登板にとどまった。昨年オフの秋季キャンプでは、球速を取り戻すため岸田護監督や厚澤和幸投手コーチらの指導で軸のブレや左手の使い方などを修正した。
しかし、自主トレを経て臨んだ今年2月の春季キャンプでは、球速は戻っていなかった。いろんな投手の映像を参考にしているうちに、秋季キャンプで身に付けたフォームを見失ってしまったという。
ブルペンでの球速は一向に上がってこず、2月17日の紅白戦では1回を茶野篤政外野手の3ランを含む2安打、1奪三振、1四球、3失点。最速は149キロだった。「ブルペンでは、フォームのここが気にいらない、ここが良くないとそんなところばかり気にしていた。取り戻すためには実戦しかない」とその後も実戦を重ね、球速を取り戻しつつある。
岸田監督も「ちょっとずつ、(球速が)出てきています。徐々に上がってきているので、(打者と)対戦してどこまで持っていけるか見ていきます」と、復調に期待を込める。
「ちょっとずつ上がっていけばいいと思っているので、無理に球速を上げようとは思っていません。一個一個課題を消していって、これを頑張って続けていきたいと思います」。もがき、苦しんだ先に、160キロ超の未来が待っている。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)


