「正直、打ちたいですよ」 チーム野手最年長・西野真弘が貫く犠牲心…目指す9年ぶり定位置

34歳の西野真弘が目指す9年ぶり定位置…昨年は規定打席未達も打率.300
9年ぶりの定位置確保へ。オリックスの西野真弘内野手が、今季の目標にプロ2年目以来のレギュラー獲りを掲げて邁進している。「脇役とか、代打とかそういうんじゃなく、全力でレギュラーを獲りにいって、1年間通して(野球を)やりたいと思います」と目を輝かせた。
西野は東海大浦安高、国際武道大を経てJR東日本から2014年ドラフト7位でオリックスに入団。俊足巧打に加え勝負強さも魅力で、2年目の2016年には二塁の定位置をつかみ全143試合に出場した。しかし、全力プレーの裏側で怪我に苦しめられ、年々出場機会が減少。それでも巧みなバットコントロールや力強い打撃は高く評価され、代打などで起用されてきた。
改めて存在感を示したのが、2年連続開幕スタメンに名を連ねた2024年シーズンだった。二塁、三塁で先発出場し、4月中旬と6月下旬に右太ももを痛めて戦列を離れたものの、打率3割台をキープ。89試合目となった最終戦で2安打を放ち、規定打席に足りなかったが打率.300をマークした。「300打席以上立たせてもらって、まだまだできるというところをお見せすることができたんじゃないかと思います。何年か成績が残せなかったんですが、もうちょっとできると思えたのは自分でもでかかったですね」と振り返る。
優れた選球眼を生かし、進塁打や試合状況に応じ粘って四球を選ぶのも持ち味。昨年の開幕戦(3月29日・ソフトバンク戦)の第2打席でも12球粘った。際どいボールをファウルで粘って、相手投手に球数を多く投げさせるフォア・ザ・チームの精神だ。
打席で演じる“脇役”…チームの勝利を最優先
「正直、やっぱり打ちたいですよ。ファウルになるか、前に飛んでアウトになるかどっちかしかないじゃないですか。フォアボールを取れたらいいんでしょうが、簡単なことじゃないし。本当に犠牲心しかないんです。失敗する方が多いからリスクは高いし、勇気がいります」と打席での心境を明かす。
それでも「ヒットを打ちに行ってヒットになるならそっちがいいのですが、(粘ることで)チームがちょっとでも有利になる、僕が(四球で)出塁して流れが変わるんだったら、そういうのも自分の役目なのかなと感じています」と打席の中では“脇役”も演じ、勝利を最優先する気持ちを変えるつもりはない。
T‐岡田、安達了一両選手が昨年限りで現役引退し、野手最年長になった。「今までなら自分も甘えてしまう先輩がいらっしゃったのですが、下の子たちが見ているだろうから変なことはできない、という気持ちは確かにありますね。でも、だからといってガツガツ言ったりはしません。意識すると自分のスタイルが崩れるので。今まで通り、困っていれば聞きますし、求められたら力になってあげたいと思います」。
今季のオープン戦も、打率3割ちょうどで終え、好調を維持してきた。昨季に取得した国内FA権を行使せず、残留した34歳。11年目もオリックス愛を貫く。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)


