岸田監督に「認めさせたい」 TJ手術後に見舞われた「ズレ」…椋木蓮が抱く感謝の思い

オリックス・椋木蓮【写真:北野正樹】
オリックス・椋木蓮【写真:北野正樹】

椋木蓮は2022年9月に右肘のTJ手術…昨年復帰も苦しんだ「感覚のズレ」

 チームから信頼される投手へ――オリックスの椋木蓮投手が、トミー・ジョン(TJ)手術からの完全復活を目指している。「シンプルに認めてもらいたいし、認めさせたいですね」。4年目シーズンの目標を、25歳右腕は自信の表情で言葉にした。

 椋木は高川学園高(山口)、東北福祉大から2021年ドラフト1位で入団。プロ初登板となった2022年7月7日の西武戦(京セラドーム)で白星を飾り、登板2戦目の7月20日の日本ハム戦(京セラドーム)では、9回2死までノーヒット・ノーランの快投を演じた。

 同年9月に右肘のTJ手術を受け育成選手になったが、2024年開幕前に支配下登録され1軍で10試合に登板し、1勝1敗、防御率5.54。2軍では21試合に登板し、3勝2敗、防御率1.58と着実に復活の道を歩んできた。

「感覚のズレ」と闘った昨季だった。「プロ1年目の自分とは、全く別の人間だと思っています」と振り返ったように、手術を受けて手に入れた新しい右肘は、これまでとは違う別のものだった。ストレートはやや戻ったもののカーブやスライダーでしっかりカウントが取れず、「一番自信があった」というフォークの落ち方も悪くなってしまった。

見守ってくれた岸田コーチ…監督就任に刺激「勝たせてあげたい」

 自信を取り戻させてくれたのは、新たな試み。空振りを取れカウントも稼げるボールを得ようと、それまでのカットボールの握りをストレートに近いものに変えたところ、球速が7、8キロも上がったという。「ストレートの指のかかりもほんとに良くなってきているので、変化球の精度を高めたらもっとストレートも生きてきます」と明るい表情で語る。

「マモさん」と慕う大学の先輩、岸田護投手コーチが今季から監督になったことも大きな刺激になっている。「怪我をしてからずっと近くで見守ってくださって。10メートルのネットスローにもわざわざ付き合ってくれ、30メートルのキャッチボールやブルペンでの立ち投げでも、マモさんが捕ってくださいました。監督になられて、今まで以上に勝たせてあげたいなという気持ちになりました」。

「マモさん監督やコーチの方々には認めさせたいし、選手とか仲間の方には認めてもらいたいですね」。右腕は8日のソフトバンク戦(京セラドーム)で今季初のマウンドに上がる。感謝の想いを結果として残すことでチームに貢献し、自分の存在感も示す。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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