2軍では“場違い”も…DeNA森原が起こした行動 うれしかった周囲の変化

DeNA・森原康平【写真:矢口亨】
DeNA・森原康平【写真:矢口亨】

日本一の胴上げ投手・森原は右肩違和感で出遅れも17日に今季初めて1軍昇格

 頼もしい男が帰ってきた。昨季日本一の胴上げ投手となったDeNAの森原康平投手が、17日に今季初めて1軍に昇格。同日に東京ドームで行われた巨人戦の登板機会はなかったが「万全ですよ」と明るい表情を見せた。右肩の違和感発症にも「メンタルがブレることはなかった」という理由や、2軍調整中に自ら起こした行動には、“らしさ”が詰まっていた。

 昨季、主に抑えとして58試合に登板して29セーブを挙げた右腕だったが、プロ9年目の今季は右肩の違和感により春季キャンプ2軍スタート。開幕も1軍メンバーに名を連ねることはなかった。それでも2軍では5試合計6イニングを投げて防御率0.00と貫禄を示して、1軍の舞台に戻ってきた。

 実はこの時期の昇格は、自身が2月のキャンプイン時に立てたプラン通りなのだという。それは肩という難しい場所ながら、しっかりとリハビリ過程を歩んできた証拠でもある。

 とはいえ、肩の故障で開幕に出遅れることに落ち込むことはなかったのか――。そう尋ねると、森原はいつも通りの笑顔で首を横に振った。「メンタルがブレることはないですね。肩をやったときまず思ったのは、どうしたら最善なのかってこと。次にどうするかを考えていましたね」。

「ファームの若い子、全員と話そうと思って」後輩たちにアドバイスも

 2022年途中に楽天からトレード移籍。直近2年間で46セーブを挙げるなどすっかり欠かせない存在となっている。また2023年オフに自主トレをともにした坂本、徳山、中川虎といった後輩たちは、森原のポジティブな考え方に大きく影響を受けて昨季次々と覚醒。昨オフの契約更改の際には「そういうところも含めてありがとう」とねぎらわれたほどだった。

 今回の2軍調整期間にも、33歳は行動に出た。「ファームの若い子、全員と話そうと思って」と、これまではなかなか接点のなかった後輩たちに積極的に声をかけた。最初は遠慮がちだった若手からも、最後の方は声をかけられるどころか質問も受けるようになった。メンタル面で悩む選手にはアドバイスも送った。「いい時間でしたね。初心を思い出したというか」と目尻を下げた。

 まだまだシーズンは始まったばかりで、残りは128試合ある。「ここからしっかり投げれば50試合くらいはいけるはず。終わったときに、よかったなと思えるようにしたい」。混戦のセ・リーグを抜け出すためにも、森原の力は欠かせない。

○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2011年から北海道総局で日本ハムを担当。2014年から東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。

(町田利衣 / Rie Machida)

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