山本由伸が大切にする“一体感” 異国でも変わらぬ精神…裏方に深く感謝する理由

レンジャーズ戦で好投したドジャース・山本由伸【写真:ロイター】
レンジャーズ戦で好投したドジャース・山本由伸【写真:ロイター】

山本由伸が“不在”の大谷翔平に思いやり「みんなで少しずつ大谷さんの代わりを……ね」

【MLB】ドジャース 3ー0 レンジャーズ(日本時間19日・アーリントン)

 何気ない一言に、全てが詰まっている。ドジャースの山本由伸投手が18日(日本時間19日)、敵地でのレンジャーズ戦に先発登板し、今季自己最長の7回102球5安打無失点の好投で、今季3勝目&日米通算80勝を記録した。大谷翔平投手が真美子夫人の出産に備えて「父親リスト入り」。不在だった試合で快投を演じ、主役の座を堂々と張った。

 週初め、クラブハウスで見かけた私服用の黒帽子には白字で「B」が刻まれていた。「もちろん、オリックスのBですよ(笑)」。エンリケ・ヘルナンデス内野手にもプレゼント。周囲をほっこりさせるのが得意な26歳の素顔は魅力がたっぷりでたまらない。

 2日前。16日(同17日)のブルペン投球後、練習から引き上げる右腕はチームスタッフと談笑した。「クラビーさんって言うんです。用具担当をしてくれています」。ベンチ裏に歩を進める山本とは反対方向に、1つのグラブを持って勢いよく外野グラウンドに走って行った。

「あのグラブ、東京シリーズの時に日本で購入したそうです。日本製は(質が)すごく良いって言っていました。いつも練習の手伝いをしてくれている時から野球が楽しそうなんです。彼らが楽しそうなので……。チームの一体感というか、こっちも楽しむ気持ちを忘れないでいられますよね」

 原点は好奇心。「考えれば考えるほど奥が深いですよね、野球は。相手がいるスポーツでもあるので。ただ、いつも自分が練習を積み重ねないと相手を上回ることはできないです。心地の良い緊張感、少しの不安があるから練習するんです」。4月中旬とはいえ、防御率0.93はナ・リーグ1位。誰もが認める投手になってきた。

「評価してくださるのはすごく嬉しいですし、やりがいを感じます。もっともっと良い投球ができるようにしたい。(今日は)すごくコントロールできていたと思いますし、ボールが続いても落ち着いてストライクゾーンに投げていけました。四死球がないというのはすごくよかったなと思います」

 試合直前のクラブハウス。野球道具は綺麗に並んでいたが、右隣は“空席”だった。快投しても、突如と飛び込むビッグニュースが取り上げられる日々を過ごしたこともある。「いつも大谷さんがチームを引っ張ってくれているので、こういう時はみんなで少しずつ大谷さんの代わりを……ね。穴埋めというか。みんなでカバーして戦えたので、すごく良い試合だったなと思います」。誰もが主役のショーなんて存在しない。フラッシュライトのベクトルは、自分の力で変えられる。

(真柴健 / Ken Mashiba)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY