2軍でタイトル獲得も戦力外→育成再契約 横山楓が背ネームを「KAEDE」に変えたワケ

オリックス・横山楓【写真:北野正樹】
オリックス・横山楓【写真:北野正樹】

昨年は2軍で14セーブ…タイトル獲得も育成再契約のオリ横山楓

 今季、育成選手として再出発しているオリックスの横山楓投手が、ユニホームの背中の選手名を「YOKOYAMA」から「KAEDE」に変更し、支配下を目指している。「以前から考えていたのですが、昨年に育成契約をしていただく時に変更をお願いしました」。いつも通り柔和な表情で27歳右腕が切り出した。

 横山楓は宮崎県出身。宮崎学園高、国学院大を経てセガサミーから2021年ドラフト6位で入団した。肘をたたんだ変則的なショートアームから繰り出すストレートと、フォークを武器とする右腕で、プロデビュー戦となった2023年9月30日の楽天戦(京セラドーム)では最速153キロをマークした。

 しかし、1軍登板は2023年の4試合(1敗)だけ。2024年は2軍で47試合に登板し、1勝5敗14セーブ、防御率3.65でウエスタン・リーグの最多セーブのタイトルを獲得したが、10月8日に戦力外通告を受けた。2軍とはいえタイトルを獲得したが、「1軍に呼ばれるレベルに達していなかっただけです。決め球がうまくいかないと球数がかさんで、なかなか連投もきかないとなると、やっぱり(首脳陣には)使いづらいですし。自分でもそれはわかっていました。根本的にレベルが足りないと思っています」と、突然の通告にも大きな驚きはなかった。

 むしろ、育成選手として再契約の打診をしてもらったことへの驚きの方が大きかったという。「またチャンスをいただけた」という感謝の気持ちを込め、契約の席上、ユニホームの背中の選手名変更を申し出た。「楓(かえで)さん」と呼ばれることが多い上、「昨年のドラフト(1位)で横山聖哉選手が入ってきた時から変更を考えていました」と説明するが、“新しい姿”で心機一転、支配下を目指すという決意が込められていたのはいうまでもない。

 オリックスでは、鈴木博志投手が「『ひろし』としか呼ばれたことがない」として、登録名を「博志」に変更したが、横山楓は「登録名まで変えることは考えていません」という。今季の役割も中継ぎと抑え。プロアマ交流戦での調整登板で1度先発起用されたが、才木海翔投手や入山海斗投手ら若手とクローザー、セットアッパーを競っている。

 大学、社会人を経てプロ入りした27歳。「この年齢でチャンスをいただけたことはありがたいこと。年齢がネックになることがあると思いますが、この1年、勝負していきたいと思っています」。戦う男の顔で締めくくった。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。 

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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