試合数の半分に登板…博志が明かす“火消し”の極意 「自分が燃えると逆にやられる」

オリックス・博志【写真:栗木一考】
オリックス・博志【写真:栗木一考】

20試合のうちチーム最多の10試合に登板…博志が語る中継ぎの心得

 オリックスの博志投手がセットアッパーとして存在感を示している。「一番しびれましたね。でも投げていて楽しかったですよ」。ピンチの場面での登板を、28歳右腕が笑顔で振り返った。

 4月17日の西武戦(京セラドーム)。2-3の8回1死満塁で出番がやってきた。迎える打者は3番のタイラー・ネビン外野手、4番の中村剛也内野手。博志はネビンを内角高めツーシームで中飛、中村には外角カットボール中心の配球で右飛に打ち取り、ピンチを切り抜けた。試合には敗れたものの、チームを鼓舞する熱投だった。

 中継ぎの心得を博志は「しっかりと状況を確認して(ゲームに)入るのと、何をしちゃいけないのかということを投げる前にしっかりとイメージします。“火消し”で行く場面では、火を消しに行くんで自分が変に燃えちゃったりすると逆にやられてしまうこともあるので、熱い心を持ちながらも冷静に状況判断しながら自分の投球で勝負すること」と明かす。

 リードされていたこの試合では「最悪、ヒットでも仕方がないにしても、長打はダメですし、中間とか前進守備になることも含めて外野は越されないように意識はしました。それと四球もすごく頭の中によぎったんですが、勝負にいって(失敗したら)しょうがないぐらいの気持ちでいきました」と振り返る。

 20試合中、チーム最多の10試合に登板。宇田川優希投手や吉田輝星投手、小木田敦也投手らをトミー・ジョン(TJ)手術で欠く中で、連投や回またぎを苦にしない博志の存在は大きくなるばかり。4月9日からは移動日なしの3連投もこなした。「花粉症の症状が薄くなるにつれて体のキレが出てきました」と笑わせるが、鼻が詰まって呼吸がしにくくなるほどだったそうで、集中力にも影響を与えたという。

「移動日なしの3連投は意外に体が動いて。その2、3日後の方が体はきつかったですね。去年は3連投はありませんでしたが、昔(中日時代)はめっちゃしているんで大丈夫です」。グラウンドのポール間のタイム計測で、高卒2年目の若手選手を5メートル以上も引き離すタフネスぶりで、ブルペンを支える。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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