日本ハムで感じた“難しさ” 遠い1軍の舞台…オフに待っていたまさかの戦力外

西武・黒木優太、昨年はキャンプ1軍スタートも開幕2軍
西武・黒木優太投手が、新天地で自らを奮い立たせながら躍動している。昨オフに日本ハムから戦力外通告を受けた右腕は、11月に西武と育成契約。今春はキャンプ、オープン戦と猛アピールを続け、開幕前の3月25日に支配下契約の締結が発表された。開幕1軍入りを果たし、救援陣の一角を担っている。プロ3球団目で懸命に腕を振り続ける30歳は、紆余曲折のプロ野球人生を送ってきた。
オリックスで7年目のシーズンだった2023年は、志願して先発転向も1勝止まり。巻き返しを期してオフを迎えた中、11月24日に日本ハム・吉田輝星投手との交換トレードが発表された。「オリックスでずっと長いことやってたので、まぁ寂しい気持ちもありました。ただ、やっぱり環境を変えて、またどんなシーズンになるのかなっていう楽しみもありました。そんなネガティブな感情にはならなかったですね」。
背番号は慣れ親しんだ54から32へ。当時は球団を通じて「突然のことで驚きましたが、必要とされた環境でプレーできるということは野球人として嬉しいこと。今は素直に受け止めて新天地で頑張ろうという気持ちになっています」と決意表明。「オリックスに在籍した7年間は、手術や怪我でチームに貢献できなかった時期もありましたが、いい時も悪い時もいつも温かく応援してくれたファンの皆さんには感謝の気持ちしかありません」などとコメントしていた。
新天地で迎えた2024年はキャンプ1軍スタート。だが、2月17日の韓国・サムスンとの練習試合で2失点するなど調子が上がらず、同21日に2軍に合流すると開幕も2軍となった。春先からオリックスとの“方針”の違いに戸惑いを覚えることになる。
「オリックスだったら1、2軍を行ったり来たりしながらも1軍のオープン戦で投げられたりしていたんですよ。たとえ2軍でも1軍のオープン戦に呼ばれますし、それで良かったら1軍に残れたんです。2軍にいても、チャンスというかアピールしやすいのはオリックスでした。ファイターズは最初から1軍にいないと、途中から上げてもらえる例が少なかったように思う。その辺のやり方が違うので難しさは感じました」。

日本ハムでは1軍で2試合0勝0敗、防御率4.50
開幕後は2軍で調整登板を続けたが、なかなか1軍から声がかからない。7月にようやく出場選手登録されたものの、2試合に投げただけで登録を抹消された。「状態もあまり良くはなかったかなという感じでした。チャンスもそんなに回ってこなかったですね……」。
結局、1軍では2試合で0勝0敗、防御率4.50でシーズンが終了。オフは若手に交じってフェニックスリーグにも登板し、巻き返しを期していた。だが、そんな思いが暗転する。10月22日に戦力外通告を受けたのだ。
「正直、1年でクビを切られると思っていなかったんです」。移籍1年目での予期せぬ通告に動揺するのは無理もない。当時の球団を通してのコメントは「悔しいとか、寂しいという感情よりも、ファイターズではいろいろな人との出会いがあり感謝してもしきれません。今後のことは決めていませんが、人生を楽しんでいけたらと思います」。すぐには身の振り方を決められないのは当然だろう。
人生の岐路に立たされた30歳の秋。プロ野球界を離れることも頭をよぎったという。それでも「まだやれるなっていう思いはあった」。こだわった現役続行。西武が声をかけてくれたことでプロ9年目の道が開けた。
(尾辻剛 / Go Otsuji)




