中日に眠る“ダイヤの原石” 投手歴3年も…指揮官が重ねる侍エースの姿

中日・有馬恵叶【写真:木村竜也】
中日・有馬恵叶【写真:木村竜也】

ドラ6の中日・有馬恵叶、落合2軍監督は「理想は阪神の才木」

 雨を打ち消すような、高いミットの音が鳴り響いた。23日に室内練習場のブルペンで40球の投げ込みを行ったのは、ドラフト6位ルーキー・有馬恵叶(ありま・けいと)投手。落合英二2軍監督も若き才能に期待を寄せている。

 この日、ナゴヤ球場で行われる予定だったウエスタン・リーグのソフトバンク戦は雨天中止。まだ小雨が降る中、ナゴヤ球場の室内練習場で直球とフォークボールを中心に投げ込みを行っていた。身長は190センチ、体重は79キロ。まだまだ線は細いが、その分長い腕をしなやかにしならせながらミットへ角度のある球を投げる。

 聖カタリナ学園からドラフト6位で入団したが、まだ投手歴は長くない。高校進学後に投手に転向すると、短期間で頭角を現し、昨年夏の愛媛大会を制覇、甲子園でも最速146キロをマークするなど、インパクト十分の活躍で一気にプロの世界へ飛び込んだ。

 2月にキャンプインし、プロの練習にも徐々に慣れた。有馬は「球の質やコントロールが良くなったなと思います。体幹トレーニングや体作りをしてバランスが良くなってきていると思います」と手ごたえを口にする。

 今月、初めてバッティングピッチャーを務めると、既に145キロを記録。試合でもなければ、室内練習場という環境だったにもかかわらず最速の146キロに迫る球速が出た。「体重を増やしたら、もっと球速はついてくると思います」。普段の食事にプラスして間食をこまめにとり、夜食にはうどんを食べるなど体重増加への意識も高くなった。

 ブルペンで見守った落合2軍監督は「まだまだ体ができていないので、体作りからですね。体重を増やすこと」としながらも、その素質には一目置くものがある。「身長も高い。理想は阪神の才木(浩人)君くらいになってくれたら。角度のあるボールを投げるので、あのような球を投げられたらなと。才木君のようになれとは言っていませんが、あくまでこちらの願望だけですけどね」と目を細める。

 まだあどけない18歳は「そろそろ(実戦で)投げたいですね。今年はとりあえず1年間怪我なく、できれば1イニングでもいいので1軍で投げたいです」。愛らしい笑顔を見せながらも、目標を語る言葉には力強さがある。まずは土台づくり。未完の大器が着実に歩を進めている。

(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

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