心から喜べなかった3連覇 トレード→戦力外→育成…30歳がこだわる舞台

Full-Countの取材に応じた西武・黒木優太【写真:小林靖】
Full-Countの取材に応じた西武・黒木優太【写真:小林靖】

西武・黒木優太、背番号54へのこだわりを語る

 西武・黒木優太投手が、プロ3球団目となる新天地で奮闘を続けている。昨オフに日本ハムから戦力外通告を受けた右腕は、11月に西武と育成契約を結んだ。背番号136で迎えた今春はキャンプから猛アピールを続け、オープン戦は4試合で5回1安打無失点。3月25日に支配下契約を勝ち取り、開幕1軍入りを果たした。17日のオリックス戦では古巣を相手に好救援を見せて移籍後初勝利をマーク。再び背番号54を背負い、ブルペンで黙々と準備をしている。

 西武・黒木優太投手が、プロ3球団目となる新天地で奮闘を続けている。昨オフに日本ハムから戦力外通告を受けた右腕は、11月に西武と育成契約を結んだ。背番号136で迎えた今春はキャンプから猛アピールを続け、オープン戦は4試合で5回1安打無失点。3月25日に支配下契約を勝ち取り、開幕1軍入りを果たした。17日のオリックス戦では古巣を相手に好救援を見せて移籍後初勝利をマーク。再び背番号54を背負い、救援陣の一角を担って連日ブルペンで準備している。

 1990年代後半から2000年代前半にかけてロッテで活躍した黒木知宏投手(現ロッテ1軍投手コーチ)に強い憧れを抱く。「魂のエース」「ジョニー」の愛称で親しまれた同姓の“先輩”右腕が現役時代につけていたのが背番号54。自身もオリックス時代の7年間は背負い続けたこだわりの強い番号なのだ。

「黒木っていったら『54』っていうイメージをジョニーさんが残してくれましたし、後の黒木姓のためにも僕は絶対に『54』をつけ続けなきゃいけないなって思っています。この先、黒木姓がプロ野球に入って来た時に『54番つけたいな』って思われるように、僕も頑張っていかないといけません」

 先発も中継ぎも抑えも経験してきたプロ9年目の30歳。先発の役割については「1試合作らなきゃいけないという凄い責任感がある。でも変な話、点は取られてもいい。6回3失点でいい投球と言われる」と説明する。一方、救援投手は「投げるイニングは短いけど、1点でも取られたら負けに直結してしまうことが多いという、そういうプレッシャーはあります」。

西武・黒木優太【写真:小池義弘】
西武・黒木優太【写真:小池義弘】

オリックスで3度優勝も納得のシーズンは1度だけ

 連日、ブルペンで準備をする救援投手の大変さは、登板しない日にもある。ベンチから連絡を受け、肩を作っても、先に投げている投手が打たれたり、打線が大量点を奪ったりした場合は出番がなくなるケースもある。「いくぞいくぞと思っていて、いかなかったり。そうやって投げなかった時の方が、どっちかというと疲労が溜まりますね」。気持ちと体が高ぶったのを鎮めるのも大変そうである。

 山あり谷ありのプロ野球人生を歩んできた右腕は今、大きな目標を抱いている。「1年間通して1軍にいたいですし、優勝したいと思っている。優勝のピースになれるように頑張っていきたいなと思います」。オリックス時代は2021年からのパ・リーグ3連覇を経験。ただ、2021年は右肩痛もあって1軍登板がなく、先発転向した2023年は1勝に終わっている。

 2022年は27試合で2勝2敗1セーブ5ホールドで防御率2.36。手応えがあったのはその年だけで「オリックスで3回優勝させてもらったんですけど、まあまあ頑張ったかなっていうシーズンが1回だけだったんです」と振り返る。「自分の評価としては、50%ぐらいしか貢献できてない。(エースだった)山本君(現ドジャース・山本由伸投手)が100%だとしたら、自分は20%ぐらいか?」。そう冗談めかした後、きっぱり言った。

「もっと活躍できた時の方が、きっと優勝したときの喜びが大きい。貢献度によって喜びの大きさが変わってくると思います。ちゃんと自分が活躍して優勝しないと、心の底から喜べない。だから、自分も頑張って優勝したい」。24日に出場選手登録を抹消されたが、このままでは終われない。3年ぶり最下位からの逆襲を期すチームの中で、どん底からはい上がってきた背番号54もまた、高みを目指して腕を振り続ける。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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