博志が誓う“恩返し” 現ドラ移籍→抱えた苦悩、救った岸田監督の言葉「思い切り…」

オリックス1年目の2024年、支えになった岸田2軍コーチの言葉
現役ドラフトで中日から移籍したオリックス・博志投手が、中継ぎとして存在感を発揮している。躍進の秘密に、2軍投手コーチ時代の岸田護監督から受けたアドバイスを挙げた。「2軍にいた時、岸田さんにはずっと声をかけていただいて。去年、よくなったきっかけを作ってくれた人です」と感謝を表した。
博志は磐田東高(静岡)を経て、ヤマハから2017年ドラフト1位で中日入り。1年目にセットアッパーを任されチーム最多の53試合に登板した。2年目は開幕から守護神に抜擢され14セーブを記録したが、その後は伸び悩み。6年目の2023年は1軍で9試合登板にとどまり、オフの現役ドラフトでオリックスに移籍した。
新天地で迎えた7年目。ウエスタン・リーグで初めて先発で起用された4月10日のソフトバンク戦(タマスタ)で9安打を浴び、4回途中6失点で降板した。チャンスを生かせず意気消沈する右腕に、岸田コーチは「もう本当に、投げるしかない。思いっ切り打たれてもいいから、思い切り腕を振っていこう」と声をかけたという。
気持ちを切り替えた博志は、そこからの3試合で計15回を6安打12奪三振4与四球無失点で防御率を7.11から2.11まで改善させた。5月21日に1軍昇格し、4日後には投手陣のアクシデントで急遽、託された先発を無難にこなしたほか、ロングリリーフもこなす活躍。1年目の53試合に次ぐ32試合に登板し、日本ハムを自由契約になって育成選手として加入した井口和朋投手らとブルペンを支えた。
3月22日に28歳…オリ2年目で充実の日々「まだまだこれからです」
「岸田さんの言葉のおかげで、そこからみんな一致してよくなってきたんです」と博志は声を弾ませる。進取果敢の気持ちにさせてくれた指導者に、感謝しかない。
3月22日で28歳を迎えた。「だいたい、この辺りかなとは思っていたのですが、朝、妻に言われるまで誕生日だというのを忘れていました」と笑わせる。誕生日のマウンドは、いつも通りピンチの場面から。阪神とのオープン戦に2死一塁で登板しカットボールで遊ゴロに仕留めると、次の回もツーシーム、カット、フォークを駆使し3人で片付け、健在ぶりをアピールした。
「まだ、28歳。まだまだ、これからです。与えられた場面で登板し、ゼロで帰ってくるだけです」。蓄えたひげを揺らし、目を輝かせた。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)



