7回無失点&防御率1位なのに…西武エースを苦しめる「2.20」 監督も嘆いた「痛い負け」

7回117球9奪三振無失点“最強”オリックス打線に三塁も踏ませず
■オリックス 6ー2 西武(26日・ベルーナドーム)
西武の今井達也投手は25日、本拠地ベルーナドームで行われたオリックス戦に先発し7回3安打9奪三振無失点の快投。今季防御率を0.69としてリーグトップに立った(25日現在、以下同)。ところが2-0とリードして迎えた9回、守護神の平良海馬投手が同点に追いつかれ、今井の今季3勝目は消滅(2勝1敗)。チームも延長10回の末に2-6で敗れ、昨季最終成績と同じ最下位に転落した。
今井は12球団トップのチーム打率.283、1試合平均3.87得点を誇るオリックス打線を相手に、三塁も踏ませない。特に打率.424、16打点、出塁率.490、OPS1.066など打撃7部門でリーグトップのオリックス・太田椋内野手との対決は、凄み満点だった。
初回の第1打席では外角のスライダーを中前に運ばれた。しかし3回2死一塁の第2打席では、カウント1-1から5球連続で153~154キロの速球を投げ込んだ上で、8球目に外角高めのスライダーを振らせ三振に仕留めた。6回1死走者なしの第3打席も、カウント3-0から速球5連発で挽回し、最後はやはり外角低めのスライダーで空振り三振に斬って取った。
「(オリックス打線は)右打者が多い中で、低めのスライダーを振らないように意識しているように感じましたし、直球をファウルにされることが多かったので、そこで球数が増えてしまいました」と、7回で117球に及んだことを反省しつつ、「粘って投げられたのはよかったと思います」と満足感も漂わせた。
しかし9回、平良が先頭の杉本裕太郎外野手、続く西川龍馬外野手に連続二塁打を浴びて1点差に迫られ、さらに1死二塁から暴投。これに古賀悠斗捕手の三塁への悪送球が重なり、同点に追いつかれたのだった。
延長10回には救援左腕の佐藤隼輔投手が決定的な4点を奪われ、西口文也監督も「絶対に、今井に勝ちを付けなきゃいけない試合でした。痛い負けになってしまった。悔やまれる一戦ではあります」とショックを隠せなかった。
リーグワーストの1試合平均2.48得点「畳みかけるくらい点を取れていれば…」
快投が報われなかった今井は今季、3月28日の開幕戦(9回2失点)を除くと、4月の月間防御率が0.30(計30イニングで1自責点)。西鉄時代の1961年6月に稲尾和久氏がマークした球団記録に並んだが、「どうでもいいです、そんなの」と笑顔はなかった。
そうでなくとも、今季の今井には打線の援護が少ない。登板中に味方打線が挙げた得点を1試合(9イニング)あたりで表す「援護率」は2.20に過ぎない。この日の相手先発で今季3勝0敗の九里亜蓮投手の援護率は3.83、西武の同僚の隅田知一郎投手の援護率も3.24に及ぶ。2年連続開幕投手を務めた今井にはローテーション上、相手のエースと対戦する巡りになる不利もある。
西武打線は昨季、12球団ワーストのチーム打率.212、350得点の貧打にあえいだ。今季はこれまでライオンズブルーのユニホームに袖を通したことがなかった鳥越裕介ヘッドコーチ、仁志敏久野手チーフ兼打撃コーチを招聘。今のところ、リーグ4位のチーム打率.227こそ昨季よりマシだが、1試合平均2.48得点はリーグワーストと低調だ。チャンスはつくっても点を取り切れない拙攻が目立つ。
この日も1-0とリードして迎えた6回の攻撃で、無死満塁のビッグチャンスをつくったが、2死を取られてから滝澤夏央内野手が押し出し四球を選んだ1得点のみに終わった。西口監督は「1点をもぎ取ったのではなく、1点しか取れなかった。もっと畳みかけるくらい点を取れていれば、余裕を持ってゲーム運びができた。なかなか取り切れないというところです」と嘆いた。
投球内容は今季両リーグを通じて随一とみられる今井だが、チームの勝利に結びつかなければ勢いも出ないだろう。今井の成績がどこまで伸びるかは、打線の援護にも関わってくるはずだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)



