ロッテの盗塁失敗が少ない理由 過去20年でリーグ最高の.821、量より質の“戦略”

ロッテ・吉井理人監督【写真:小池義弘】
ロッテ・吉井理人監督【写真:小池義弘】

ロッテは2024年のチーム盗塁成功率が.821…過去20年でリーグ最高

 ロッテは2024年、チーム盗塁成功率.821をマーク。リーグトップで、直近20年のパ・リーグにおいて最も成功率が高かった。成功数自体は64と少なめも、失敗数は14。今回はNPB史に残る「盗塁を失敗しないチーム」について深掘りする。投手のクイックタイムや捕手の送球に要した時間といったデータは用いない。

 チーム全体の盗塁企図数のうち、選手個人が占める企図数の割合を「盗塁占有率」とした。上位5選手を見ると、2022年は高部瑛斗外野手、2023年は和田康士朗外野手と岡大海外野手に割合が偏っていたが、昨季は岡、高部、友杉篤輝内野手、小川龍成内野手、和田の5選手が14%以上を記録した。5選手の合計が80.8%に達するなど、チーム内でトップ5が占める割合が例年以上に増えていた。盗塁を試みる選手を限定している可能性は十分に考えられるだろう。

 投手の球種タイプ別の盗塁企図割合を見てみると、ストレートやツーシームといった直球系時がリーグで2番目に低い30.5%だった。直球系投球時の盗塁を狙って避けているのかもしれない。直球系の投球を避けるアプローチは、球速帯別で見ても顕著なデータが出ていた。130キロ以上の球速帯では盗塁企図割合がリーグ平均を下回っていたのに対し、129キロ以下の投球時にはリーグ平均を約9%上回る企図割合を記録。直球系の投球時を避けるだけでなく、より球速の遅い投球時の盗塁企図が多くなっていた。

 球速帯別盗塁成功率の2024年パ・リーグ平均を見ると、140キロ台は.645、130キロ台は.768、129キロ以下は.782と球速が遅くなるにつれて成功率は上がる傾向にあった。2024年のロッテは129キロ以下の投球時に球速帯別最多の盗塁を決めており、失敗は1度のみ。的確な配球の読みが、歴代屈指のチーム盗塁成功率に結びついていたといえるだろう。

 盗塁の成否にはさまざまな要素が絡む。2025年の開幕戦で二塁への盗塁を成功させたのは小川で、ソフトバンク・有原航平投手(福岡ソフトバンク)が昨季の平均球速133.3キロのフォークを投じたタイミングでのスタートだった。今季も幕張の“怪盗”集団からは目が離せない。

(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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