1軍帯同は「お前のために良くない」 僅か1登板で…岸田監督が片山楽生を2軍降格させたワケ

片山楽生は1登板で2軍へ…首脳陣が見せた“配慮”
高評価も2軍落ちを厳粛に受け止めた。オリックスのドラフト6位ルーキー、片山楽生投手(白樺学園、NTT東日本)が、首脳陣から信頼される投手を目指して2軍で調整を続けている。「監督室で岸田(護)監督から『降格じゃないよ。前向きに捉えて』と言っていただきました。でも、大量の点差でないと勝負をさせてもらえない立場でした。そこまでの信頼は得られていませんでしたから、そこは現実の評価として受け止めたいと思いました」。22歳右腕は社会人出身らしく、客観的に語った。
オープン戦とウエスタン・リーグで先発、中継ぎを含め5試合に登板し、15イニングで自責点3、防御率1.80(ウエスタン・リーグでは0.75)の安定した投球をみせ、4月9日に1軍昇格を果たした。初登板は1週間後の4月16日にやってきた。西武戦(京セラドーム)で0‐4の8回に4番手で登板。先頭の長谷川信哉外野手に内野安打、犠打で二進を許したものの、炭谷銀仁朗捕手をスライダーで遊ゴロ、代打レアンドロ・セデーニョ内野手はストレート3球で二ゴロに仕留めた。回をまたいだ9回は、1死二塁からタイラー・ネビン外野手の左前適時打で1失点を許した。
その後、登板機会はないまま、4月21日に出場選手登録を抹消されたが、首脳陣の評価は高いものだった。岸田監督は「2イニング目、ちょっとつかまっちゃったところはあったんですけれど、どんどん勝負にいく中で逃げずにいったところはよかったと思います」。厚澤和幸投手コーチも「1失点はしましたが、野球なので失点することもあります。そこに着眼点は置いていません。回またぎをしましたが、ピッチングのスタイルは変わらなかったですね。課題もありましたが、今後の彼の野球人生にとってプラスの登板だったと思います。僕にはプラスの要素しか見えませんでした」と評価した。
片山によると、岸田監督からは「(1軍に)12日間いて、1回しか登板させてあげられなくて悪かったね。まだルーキーだから、このままブルペンに置いておくのはお前のためには良くない。ファームでもっと球数を投げて戻ってきてほしい」という内容の話があったという。
それでも、片山の表情は変わらない。「なんとか一つのピースにはまりたいと思って上がったので、そこで貢献できなかったのは悔しいですね。1軍は僕にとって知らない世界。バリバリと食い込んでいきたかったのですが、まだ仕上がり半分みたいな感じでした。僕が第三者としてみてもそういうピッチングだったので、そこはもうしっかり受け止めて次に上がる時にぶつけられるように準備をしたいと思います」。地に足をつけ着実に前に進む。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)




