西武足かけ6年の懸案“ポスト秋山”がついに埋まる? 8年目で掴んだ切り込み隊長

西武・西川愛也【写真:小池義弘】
西武・西川愛也【写真:小池義弘】

4月30日楽天戦で今季3度目の猛打賞も初めて盗塁刺され「悔しいです」

■西武 3ー1 楽天(4月30日・ベルーナドーム)

 西武は秋山翔吾外野手(現広島)が2019年のオフに退団した後、長きにわたって「1番・中堅」のスポットが空いたままと言われている。そこに今季こそ、適任者が現れたかもしれない。8年目・25歳の西川愛也外野手。リーグ最多の8盗塁を決め、“切り込み隊長”として打撃も上昇中だ(成績は4月30日現在、以下同)。

 4月30日に本拠地ベルーナドームで行われた楽天戦。「1番・中堅」でスタメン出場した西川は初回、楽天先発の左腕・藤井聖投手のツーシームを中前に運び出塁。続く長谷川信哉外野手の二塁打で三進し、絶好調のドラフト2位ルーキー・渡部聖哉外野手の2点二塁打で先制のホームを踏んだ。

 3回1死走者なしでの第2打席も、初球の112キロのカーブを捉え中前打。「スラ張り(スライダー狙い)でしたが、『行ける』と思ったので行きました」と反射神経が冴えていた。

 そして2-1とリードして迎えた7回。2死一、三塁で藤井のシュートに詰まりながらも一、二塁間を破る右前適時打を放ち、チームに貴重な追加点をもたらした。「少し泳ぎながら打つくらいのイメージで行って、逆に差し込まれたのですが、なんとか押し込めてよかったです」と笑う。今季3度目の猛打賞となり、渡部聖とともにお立ち台に上がったのも当然の働きだった。

 一方、盗塁数は早くも昨季の年間数と同じ「8」に達し、リーグトップ。成功率100%を誇ってきたが、この日はリーグトップの盗塁阻止率.462の楽天・太田光捕手と“対決”。1点リードの5回、敵失で出塁し、次打者・長谷川の初球に走った。スタートは良かったが、強肩の太田の送球がやや一塁方向へそれ、滑り込む西川にちょうどタッチしやすい所へ。今季初めて刺され、「悔しかったです」と唇をかんだ。

3歳下のルーキー渡部聖が大活躍「刺激になっています」

 盗塁数激増の傾向にも、「盗塁でアウトになると試合の流れが相手に行きやすいですし、何でもかんでも走るのは違うと思います。以前より盗塁の意識、欲が強くなったのは確かですが、あくまで行けると判断した時に行っています」と語る。

 今季全25試合にスタメン出場し、当初は開幕から2番を打っていたが、12試合目の4月13日・日本ハム戦(エスコンフィールド)以降はずっと1番。「1番打者の一番の仕事は、第1打席だと思っています。出塁できるかできないかで、試合の流れがだいぶ変わる。難しいですよ……」と漏らしつつ、3試合連続マルチヒットで打率.271、出塁率を.321に上げてきた。

 後ろの3番を打つ3歳下の新人・渡部聖が打率.435の大爆発で、「エグイでしょ。『そんなに打つ?』と思いますが、刺激になっています」とうなずく。

 西武の“ポスト秋山”の座には、これまで数多くの若手が挑んできたが、結局誰も定着できていない。西川自身も何度かこのスポットで試されたことがあるだけに、「もう何年もチャンスをもらって生かせていない。今年でしっかりつかみ切りたいと思います」と不退転の決意を示す。実現すれば、チームきってのイケメンも相まって人気も爆発するはずだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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