前田健太はなぜ防御率7点台&“戦力外”に? 球界最高から一転…消えた本来の姿

与四球率は2.57→6.75、BB%も自己最悪の14.0%に悪化
青天の霹靂だった。タイガースは1日(日本時間2日)、前田健太投手をメジャー出場前提の40人枠から外す措置(DFA)としたと発表した。前田は今季リリーフで7試合に登板し0勝0敗、防御率7.88。2年契約の最終年を全うせずにまさかの通告となった。果たしてなぜ、前田は今季本来の姿を見せることができなかったのか。キーワードは「15」だ。
ドジャース、ツインズを経て昨オフに2年2400万ドル(約34億8700万円)でタイガースに加入。今季は初登板となった3月30日(同31日)のドジャース戦で2回2失点、続く登板でも1回3失点と序盤から躓いた。それでも直近2試合は無失点に抑えていたが、チーム内では高給取りでもベテランの立場は厳しく、DFAの措置が取られた。
今季の前田で気になるのが、四球の多さだ。不慣れなリリーフ登板の影響もあったのかもしれないが、開幕から6試合連続で四球で走者を出している。昨季までの通算与四球率は2.57、対戦打者に占める与四球の割合(BB%)も毎年7.0%前後だったのが、今季に限ってはそれぞれ6.75、14.0%と跳ね上がっている。
単純に制球を乱している、とも考えられるが、今季の投球内容ではもう一つ気がかりな要素が見え隠れしている。MLB公式のデータサイト「ベースボールサバント」では、平均を50とし、最低1、最高100で成績を分布化している「パーセンタイル・ランキング」が併記されている。そして今季の前田に関しては、大半の項目が平均を下回る“青”になっている。
中でも、これまでになく下降した数値が、ボール球を振らせる割合「Chase%」だ。前田は決して球速は速くないものの、ピッチトンネルを介した技巧的な投球で空振りを量産。毎年、三振割合の「K%」も「Chase%」も球界上位に位置し、サイ・ヤング賞投票2位に入った2020年には「Chase%」は39.6%。球界最高位の「100」と圧倒的だった。
故障から復帰した2023年も同指標は「75」、昨年も「74」と球界上位に位置づけられていたのが、今季は「Chase%」が22.6%まで悪化し、まさかの「15」に沈んでいる。ボール球で空振りを奪えず、カウントが整えられなくなり、ゾーンに投げ込んだボールを痛打される。球威がない分、よりコースを狙うようになって四球数が増加……この悪循環によって、今季の成績が急落した可能性が考えられる。
前田のボールの切れ味が失ったのか、それとも相手打者が投球に対応できるようになったのか。それでも、スイングで空振りを奪った割合の「Whiff %」は「69」でまだまだ平均以上を維持している。本来の姿を取り戻すには、かつてのようにボール球をいかに振らせるかにかかっている。
(Full-Count編集部)