戦力外も「運が良かった」 異国で会った元同僚…「都立の星」が歩む“第2の人生”

元オリックス、巨人の鈴木優氏「将来的には日本の野球界に貢献したい」
異国で“同僚”と再び出会った。オリックス、巨人で8年間の現役生活を過ごした鈴木優氏は今、米国・ロサンゼルスに拠点を置いて生活している。2023年からロサンゼルスに住み「ちょうど1年が経った時に、大谷さんと(山本)由伸のドジャース入団が決まったんです。そこで今のお仕事を頂いて……。運が良かったです」。現在は情報番組のリポーターを務めるなど、セカンドキャリアを邁進している。
「将来的には日本の野球界に貢献したいですね。実力のない高卒の僕を獲って下さったオリックスには特に(貢献したい)ですね。7年もプレーさせてもらえたので」
鈴木氏は2014年ドラフト9位でオリックスに入団。都立・雪谷高からのプロ入りで「都立の星」として奮闘した。新人年の2015年には1軍デビューも果たしたが、その後はファームでの生活が長く、プロ初勝利は2020年7月1日の西武戦。苦節6年でたどり着いた1勝だった。
「入団した時は『絶対に無理だ』と感じましたよ(笑)。高校生の中でも甲子園に出ていたりする選手と比べると劣っているわけですよ。そこに大卒と社会人の選手がいる。絶対無理だな……と」
ドラフト時の心境は、はっきりと覚えている。「選ばれたら嬉しいけど、選ばれなくても仕方ないよなと思ってました。(指名されないと)1回カメラのレンズを下げるんです。ため息も聞こえる。雰囲気がやばかったです。周囲の期待が大きかったので(選ばれた時は)ホッとした方が強かったですね。
「野球を辞めた時に思ったことは『頑張れば、形になるんだな』ということです」
プロ1年目から1軍マウンドを経験した。「(初登板は)西武戦でした。森さんは大飛球でセンターフライに抑えられましたけど『これは無理だな』と。率直な感想でした」。2021年オフにオリックスから戦力外通告を受けて、2022年は育成契約で巨人に入団。同年オフに現役を引退した。
「野球を辞めた時に思ったことは『頑張れば、形になるんだな』ということですね。(高卒ドラフト9位入団で)苦労の角度が他の選手とは違うかもしれません。一生懸命、頑張って来られてよかったです」
新しい野望もある。「将来的には、母校の監督をやりたいなという夢があります。『都立の星』とみなさんに呼んでもらえた経験もあるので。毎日、勉強です」。地道に練習を積む超一流選手を見るのが、楽しみでたまらない日々を送っている。
(真柴健 / Ken Mashiba)