開幕直前の死球骨折も「責めてほしくない」 1軍復帰するDeNA桑原将志の“相手”への願い

骨折で出遅れも5日に今季1軍初昇格へ「どう結果を残すか、どう貢献するか」
昨年の日本シリーズMVPに輝いたDeNAの桑原将志外野手が5日、待望の1軍昇格を果たす。開幕1週間前に死球を受け骨折し離脱。5月2日のイースタン・リーグ、日本ハム戦で実戦復帰(試合はノーゲーム)し、3日から同2試合に出場した。「気持ちも高ぶっていますし、いい準備ができた。あとはどう結果を残すか、どう貢献するかだと思っています」と合流を心待ちにした。
悲劇に見舞われたのは、3月23日のオープン戦、西武戦(ベルーナドーム)だった。初回の第1打席、高橋光成投手が投じた2球目が右手付近に直撃し、負傷交代。右手親指の骨折と診断された。開幕前最後のカードでまさかの離脱となった。
「当たったときはショックでしたけど、こればかりは仕方のないことなので。シーズンが終わったときにいい期間だったなと思えるように、結果を残せるように頑張りたいです」
「怪我と向き合いながらいい期間を過ごせた」1か月強遅れの“開幕”へ
本人の無念はもちろんのこと、桑原の離脱はチームにとっても大きな痛手だった。いまいち波に乗り切れない現状で「桑原がいれば……」と願うファンも多かっただろう。
実は死球直後、元々連絡先を知っていた高橋から電話をもらい、直接謝罪されたという。万が一にも、誹謗中傷が向くことは避けたい。「決して彼を責めてほしくはない。野球をやっていれば仕方なのないことなので。仕方のないことですから」。言葉に力を込めて、そう繰り返した。
リハビリ期間中は多くの人とコミュニケーションを取り、学びも得た。「怪我と向き合いながらいい期間を過ごせたと思います。今後に役立つ話もたくさんできました」と一回り成長した姿で、1か月強遅れの“開幕”を迎える。
筒香嘉智外野手、宮崎敏郎内野手が不振により登録抹消中。5日には桑原とともに、下半身のコンディション不良が癒えたタイラー・オースティン内野手も戦線復帰するが、主力を欠く中でガッツ溢れるプレーで鼓舞する33歳にかかる期待は大きい。「何かあったら(若手に)寄り添いたいですけど、まずは自分のやるべきことをしっかりやっていきたいです」。背番号1は、すっかり日焼けした顔を引き締めた。
○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。北海道総局で日本ハム、東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。
(町田利衣 / Rie Machida)