西川龍馬が「ミナトクダンシ」を選んだワケ ドラ1麦谷祐介が語った“意外”な素顔

オリックス・西川龍馬【写真:北野正樹】
オリックス・西川龍馬【写真:北野正樹】

「ミナトクダンシ」を背負って大活躍

 オリックスがゴールデンウィーク中に開催したキッズが主役の「Bsオリっこデー」。背ネームを選手自ら考えたニックネームなどに変更したユニホームを着用するイベントで、注目を集めたのが西川龍馬外野手の「ミナトクダンシ」だった。

「港区男子」とは、東京都港区に住む20~30歳台の高学歴、高収入の男性を指す言葉。西川は、ミナトクダンシとした理由を「(東京ではなく)大阪です。大阪市港区出身ですから」と説明。東京の港区との違いを聞かれると「違うでしょ。大阪が好きなんで」と周囲を笑わせた。

 高級住宅地の東京・港区に対し、人気レジャー施設の海遊館や超高層ビルが建ち賑わいを見せる一方、住民同士の交流が活発な下町の住宅地もある大阪の港区。西川には、庶民的な出身地のよさをアピールしたい思いがあったようだ。

 このユニホームを着用した4月中の2日間で、西川は8打数4安打、1打点。サヨナラ勝ちした4月29日は8回に安打を放ち同点をお膳立てし、翌日には今季初本塁打を放ち、田嶋大樹投手の3年ぶりの完封を援護した。

 精悍な顔つきには似合わぬお茶目な西川。ドラフト1位の新人、麦谷祐介外野手は「マジ、兄貴ですね。面倒見がよくて、お兄ちゃんと言ったらなめてるようで言い過ぎかもしれませんが、ホントに兄貴です」という。

若手に対する助言、さり気ない気遣い

 食事に誘ってくれるだけではない。初めて「9番・中堅」でスタメン起用された4月3日のロッテ戦(ZOZOマリン)では、試合前に「いったれよ。ピッチャーの足元を狙え」とアドバイスをくれた。

「強引になりすぎて体が開かないように、ピッチャーの足元に返す意識でと言いました。センター返しの感じです。(打撃の)基本はそうじゃないですか」と西川。この試合で麦谷は、3打席目にプロ初安打を先制の適時三塁打で飾った。「ちょっと(体が)開いていた部分があったので、センター返しというのが意識できました。アドバイスが効きました」と感謝した。

 また、試合前の練習で、2軍で調整中の古田島成龍投手のグラブを使ったことも。年齢では後輩だが、国内フリーエージェント制を行使し広島から移籍した西川にとっては、2024年シーズンから入団した“同期”の選手。古田島の思いも背負ったようにも思えたが「アイツのグラブがたまたまあったんで使っただけ。意味はありません。そんな気持ち悪いことはしません」と笑顔で平静を装うあたり、いい兄貴分のようにみえた。

 移籍2年目はオープン戦で打撃不振に陥った時期もあったものの、開幕からは好調をキープしている。「安心感はないです。でも余計なことを考えずに臨んでいるのがいいのかもしれません」。大阪市西区の本拠地・京セラドームの近くで育った“ミナトクダンシ”が、チームを引っ張る。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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