九里亜蓮、登板間隔は「短い方がいい」 タフネス右腕に“中9日”を託した首脳陣の思惑

オリックス・九里亜蓮【写真:小林靖】
オリックス・九里亜蓮【写真:小林靖】

首位攻防の初戦に中9日で先発

「内容とか、どうでもいいんです。仙台で(試合が)流れて、ここに持ってこさせてもらったという僕らの意図をくんでくれている。本当に何も言うことがないピッチングでした」。5月5日の日本ハム戦(京セラドーム)を、九里亜蓮投手、アンドレス・マチャド投手の継投で1‐0の完封勝ち。試合終了の約1時間後、厚澤和幸投手コーチが興奮冷めやらぬ口調で、九里を絶賛した。

 この日、九里は変化球主体の打たせて取る粘りの投球で、日本ハム打線を翻弄。8回を被安打4、4奪三振、4与四球、無失点で今季負けなしの4勝目を挙げた。

 今季最多の131球の熱投に、岸田護監督は「バケモノぶりを見せてもらいました。いつも通り、尻上がりに調子を上げていくピッチングでした。初戦を、接戦で取れたのは大きいと思います」と、33歳右腕を称えた。

 中6日での先発が決まっていたカード頭の5月2日の楽天戦(楽天モバイルパーク)が雨で流れ、このカードでのスライド登板も可能性としてあった。しかし、首脳陣は、中9日となる5日から始まる日本ハムとの初戦に九里をぶつけることを決めた。

 開幕後1か月とはいえ、2位日本ハムとの首位争いの大事なゲーム。厚澤コーチは「(予想される相手は)リーグを代表するピッチャーですので」と、九里の起用を説明した。さらに、「(5日からの)週アタマのカードを、アレン(九里)と宮城(大弥投手)で、5月の(チームの)流れを作りたいなと思いました」と明かした。

 スライドより調整の難しい中9日での登板。九里は「どちらかと聞かれたら、(登板間隔は)短い方がいい」というタイプだが、厚澤コーチは意気に感じて投げてくれる九里の心意気を買った。九里は、日本ハムに広島時代を含め5連勝中と相性もよいが「雨で流れた時点で、アレン(九里)と心中すると決めました。アレンは、どのチームとも相性がいいんです。日本ハムに勝てる確率を上げるためではなく、チームの流れを作りたかったのです」と厚澤コーチ。

 困難な条件を承知で大事な試合を託した厚澤コーチと、それに応えて結果を出した九里。信頼という絆で、オリックス投手陣はさらに輝きを増す。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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