オリ24歳の飛躍を示す「.979」 向上支える守備の影響…チームに根付く歓迎すべき“系譜”

オリックスの太田椋が覚醒気配を漂わせている
オリックスの太田椋内野手が、5月4日時点で打率.397を記録し、パ・リーグ打率ランキングのトップに立っている。2024年に91試合で打率.288の数字を残しブレークの足がかりを作ると、今季は本塁打がリーグ5位タイ、打点が同1位タイと打撃3部門すべてでハイレベルな成績を残しており、さらなるステップアップを果たしそうな気配を漂わせている。24歳の若武者が持つ特徴と強みを、各種指標から紐解いていく。
打率と出塁率の差を示す指標「IsoD」はキャリア平均で.054と高くはなく、積極的なバッティングが持ち味であることがわかる。しかし今季は.065とキャリア平均を上回り、四球を三振で割る「BB/K」も直近2年間は.400超えと、選球眼に着実な向上が見られている。また長打率も大きく伸び、キャリア平均.377に対し直近3年間はいずれも.400超。特に今季はリーグトップの.517と劇的な向上を示している。
「真の長打力」を表す「ISO」も直近3シーズンはすべてキャリア平均を上回り、本塁打1本あたりの打数「AB/HR」も今季は29.00とキャリア平均(43.11)を大きく上回っている。こういった選球眼と長打力の向上により、OPSはリーグトップの.979という極めて優秀な水準に到達。キャリア平均の.693から飛躍的に成長し、リーグ最高クラスの生産性を誇る打者へと進化を遂げている。
守備面では1軍デビューの2019年には遊撃手として6試合に出場。翌2020年には二塁手、三塁手、遊撃手の3ポジションを経験。2021年には内野全ポジションをこなすユーティリティ性を発揮した。2022年以降は一塁手と二塁手がメーンとなり、2023年以降の打撃指標向上は守備負担の減少が影響した可能性もある。
オリックスではこれまでにも、レギュラーに定着した年にタイトルを獲得した選手が少なくない。イチロー氏は1994年に初の規定打席到達で首位打者などを受賞し、T-岡田氏も2010年に規定打席初到達で本塁打王に。現役では、杉本裕太郎選手が2021年、頓宮裕真選手が2023年に、それぞれ初の規定打席到達年にタイトルを獲得している。太田もこの伝統に続き、初の規定打席到達とタイトル獲得を果たせるか――。特に杉本と頓宮がタイトルを獲得した年にはチームがリーグ優勝を飾っていることから、太田の活躍がチーム全体の成功にも直結すると期待されている。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)