松井秀喜氏、流行の“魚雷バット”が「気になる」も… 「飛ばないと思う」と話すワケ

日本でも流行の兆し「練習で打ってみたいなとは思います」
巨人、ヤンキースなどで活躍し日米通算507本塁打を放った松井秀喜氏(ヤンキースGM付特別アドバイザー)が代表理事を務めるNPO法人「Matsui 55 Baseball Foundation」は10日、都内で少年野球教室を開催。終了後取材に応じた松井氏は、日米で流行しつつある“トルピード(魚雷)バット”について、自身の現役時代の打撃スタイルには合わないとの見解を示した。
松井氏もいまだ手にしたことのない魚雷バットに、単純な興味はある。「自分が現役だったら、練習で打ってみたいなとは思います。どんな感覚なんだろうと、気にはなります」と言う。
魚雷バットは、先端が太い通常のバットと違い、ボウリングのピンのように先が細くなっているのが特徴。芯が手元に近いところにあり、操作性が高いといわれている。昨季までヤンキースのアナリストを務めていたアーロン・リーンハート氏が考案。今季開幕からヤンキースの攻撃陣が本塁打を量産したこともあって話題となり、日本でも練習で試す選手や、試合で使用する選手が現れ、流行の兆しも見える。
松井氏は「僕が(打撃で)普段意識していることと、あのバットのコンセプトは合っていないと思うので、基本的には(試合では)使わないだろうと思います」とキッパリ。「基本的には、遠心力がかかった方がボールは飛ぶでしょう。(バットの芯が)手前に来れば、遠心力がなくなるので飛ばないと思う」と説明した。
リーンハート氏は、メジャーの打者が従来のバットの芯よりも手元に近いところでボールをとらえることが多いというデータに着目し、魚雷バットを考案したとされている。ただ、どんなタイプの打者に向いていて、どんなタイプには合わないのか、定説はまだないのが実情と言えそうだ。ひょっとすると、“ゴジラ”の異名を取った松井氏のような典型的な長距離打者には、向いていないのかも……。
代表理事を務めるNPO法人が少年野球教室開催、自らフリー打撃も披露
松井氏はこの日、35人の野球少年を相手に、打撃投手役を務め計350球以上を投じるなど熱血指導。さらに両翼98メートルのメーン球場で自らフリー打撃を披露し、11スイング目に右翼フェンス後方の防球ネットを直撃する1発を放ってみせた。
「最近飛距離の衰えを実感して、いつまで(柵越えを)打てるだろうかと思っています」と吐露する松井氏に、報道陣から「次回は魚雷バットを試してみたら?」との声が飛んだ。いったんは「いいんじゃない?」と応じた松井氏だが、「飛ばないと思うけどね」と持論は曲げなかった。
過去、球界では様々な形状のバットが流行し、やがて廃れていったのも事実。果たして魚雷バットはどこまで広がるだろうか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)