「僕にとっては必要な時間」 昨季に続く抹消も「違った感覚」…DeNA山崎康晃が向き合う“今”

5月29日に今季初抹消「目的を持ってやり抜きたいなと思います」
DeNAの山崎康晃投手は、5月29日に今季初めて出場選手登録を抹消された。27日の阪神戦(甲子園)では1死も奪えず満塁を招いて降板し、敗戦投手に。ここまで13試合で0勝3敗、1ホールド1セーブ、防御率4.09だった。2年連続となるシーズン前半での再調整に、何を思い、どんな時間を過ごしているのだろうか――。
2軍戦で腕を振る山崎の表情は、スッキリしていた。「僕にとっては必要な時間で、無駄な時間ではないなとハッキリ思っています。もちろん、形からしてみればあそこで打たれて抹消にはなったんですけど、自分にとっては、昨年も同じような時間を過ごして、また違った抹消の感覚。やりたいこともしっかり喋ってやらせてもらえる環境で、目的を持ってやり抜きたいなと思います」。
生命線のストレートと代名詞でもあるツーシームを武器に、ルーキーイヤーから232セーブを積み重ねてきた。しかしプロ11年目を迎え「僕自身もどうしても今の野球、ツーサイドピッチが難しいことはわかってきているし、もっともっといい投手になるためにどんどん努力、勉強していかないといけないのかなと思いますね」と現実を受け入れながら新球習得に挑んだ。
とはいえ1軍は“試す場”ではないこともあり、ファームで打者相手に実戦登板を重ねている。「そんなに先入観を持たずに入ってきてくれるファームの打者と対戦することを目的、課題として持っています。僕もそう感じているし、やりたいことをしっかりやっておいでと言われているので」と明かした。
「昨年はどちらかというとパフォーマンスで手も足も出ない状況で…」
昨年は森原康平投手とのダブルストッパーとして開幕を迎え、3月29日の広島との開幕戦でセーブを挙げたが、6月6日のオリックス戦で敗戦投手となり、同9日に出場選手登録を外れた。1か月強の調整期間を経て7月14日に復帰も、9月16日に再び抹消に。最終的には38試合で3勝5敗、11ホールド4セーブ、防御率3.35という成績だった。
「昨年はどちらかというとパフォーマンスで手も足も出ない状況で、僕自身も苦しかったですし、手札がない状況まで追い詰められた。今年は、今ストレートもすごくいいので、技術的な部分でもまだまだ相手と向き合ってがっぷり四つで勝負できるというのは感じているので、そこの磨きをかける期間にしたいなと思っています」
“前向き”な言葉に、逆襲への強い思いが伝わってくる。「1軍の先発陣が非常に調子がいいというところもあって、中継ぎが苦しいところで回ってきたり、1イニングが本当に大変な状況、油断を許さない状況が続いている。そこで痺れを切らさずやるために、僕もそういうピースになれるように、そこに尽きるかなと思います」と山崎。再び横浜スタジアムのマウンドで輝くために、まずはファームでしっかりと爪を研ぐ。
○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。北海道総局で日本ハム、東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。
(町田利衣 / Rie Machida)