金銭トレードで加入…オリ岩崎翔の“本気の覚悟” 全てを懸ける「最終コーナー」

福良GM「パワーアップしているという感じは受けました」
中日から金銭トレードでオリックスに移籍した岩崎翔投手が、フル回転で50試合登板を宣言した。2017年には72試合に登板し、ソフトバンクの日本一に貢献した右腕が2年ぶりのリーグ優勝を請け負う。
「優勝するためには、そういう投手がいるものだと思っています。意気に感じるタイプなので、期待されて投げるのは好き。期待されているというのはありがたいことです」。入団発表の翌日、大阪・舞洲の球団施設で汗を流した岩崎が声を弾ませた。
市船橋高(千葉)から2007年高校生ドラフト1位でソフトバンクに入団。3年目から頭角を現し、リリーフに専念した2017年には72試合に登板、2年ぶり8度目の日本一に貢献するとともに、最優秀中継ぎ賞に輝いた。人的補償で2022年から中日に移籍。トミー・ジョン(TJ)手術の長いリハビリを経て、2025年4月1日の巨人戦(バンテリンドーム)で1413日ぶりの白星を挙げ、復帰を果たした。
4月27日のヤクルト戦(神宮)を最後に1軍選手登録を抹消され、2軍での調整を続けていたが、中継ぎ陣の補強が急務となったオリックスから白羽の矢が立ち、移籍が決まった。
2度目の新天地。岩崎は「3年間お世話になった中日では戦力になれず申し訳ありませんでしたが、(優勝争いという)ピリピリとした中で投げられるというのは楽しみでもあります。選手冥利に尽きます」と語る。
掲げた目標は「50試合登板」。シーズン途中の移籍で難しい条件だが「後先を考える年齢でもない。いつ、つぶれてもいいと思ってやっているので、優勝を目指すチームの一つのピースになりたい」と意気込む。TJ手術後、最速158キロをマーク。肘の状態もよいことが、口調からもうかがえる。
監督時代に対戦したことがあり、岩崎獲得に動いたオリックスの福良淳一ゼネラルマネジャーは「あの時の岩崎は無双でしたから。今年のボールを見ても力があるし、(ソフトバンク時代より)パワーアップしているという感じは受けました。今の(オリックスの)中継ぎ陣の数字を見てもらったら(獲得の狙いは)わかる。そこの強化という意味で岩崎君には頑張ってもらいたい」と大きな期待を込める。
中日・井上一樹監督からは「野球人生の最終コーナーを回っているから頑張れ」と激励を受けた。「いつ終わってもいいように、1日1日を悔いのないように過ごしている。優勝するために身を削りたい」と語る右腕。最終コーナーの先のゴールを遠くに見据え、粉骨砕身、野球人生のすべてをかける。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)

