がんとの闘病生活…“球友”に森友哉「18m投げよう」 深まる大阪桐蔭の絆「ずっと一緒に」

オリックス・森友哉【写真:北野正樹】
オリックス・森友哉【写真:北野正樹】

オリックス・森友哉…がんと闘う大阪桐蔭の同級生が投じる「ボールを受けたい」

 オリックスの森友哉捕手が、希少がんと闘っている大阪桐蔭高野球部の同級生をサポートし続けている。15日に行われる巨人戦。本拠地・京セラドームでの始球式で、マウンドからホームベースまでの18.44メートルを投げることができるよう、キャッチボールの練習相手を務めている。

 がんと闘っているのは、2013年に大阪桐蔭高が「春夏春連覇」を目指した時に主力選手だった福森大翔(ひろと)さん。同級生に森、1学年上に藤浪晋太郎投手(マリナーズ傘下)がいる。福森さんは、2013年夏の甲子園2回戦の日川戦(山梨)で3-3の延長10回1死一、三塁でサヨナラ打を放つなど、勝負強い外野手として活躍した。大学卒業後に野球と離れ、大手ハウスメーカーに勤務していた。約4年前に10万人に1人と言われる希少がんを発症し、現在は抗がん剤治療で治癒を目指している。

 森にとって、福森さんは特別な存在だった。同じ大阪出身で、中学時代に対戦したこともある。大阪桐蔭高に入学して同級生になり、苦しい時も嬉しい時も共有した仲間。2013年の選抜大会では、同点機に打席に立つ福森を、伝令に向かった森が頬を掴んで笑顔でリラックスさせ、安打を引き出したことも懐かしい思い出だ。

 その友情は10年以上経った今も変わらない。「高校時代もずっと一緒にいましたし、卒業してからも5人くらいで集まるめちゃめちゃ仲のいいメンバーの1人です。オフには一緒に旅行にも行きますし、西武時代は大阪遠征があれば、絶対、ご飯を食べていました」と森は話す。

 希少がんを発症したことも、直接、福森さんから告げられた。一時、快方に向かったことで安心していたが、再発を知らされた。「1回、治ったと聞いていたので、まさかと思いました」。がんについて勉強したり、知人を通じて治療方法などを教えてもらったりした。「体にいいと聞けば、ひろとに届けたり、いろいろしています」とサポートを続けている。

 福森さんは、現在、高額医療の現状や希少がんの存在、健康の大切さを知ってもらおうと、自身のSNSを通じて病状などを公表。5月に入ってクラウドファンディングを立ち上げた。そんな福森さんを森は「抗がん剤治療でしんどいのに、自分から知らせるのは本当に覚悟がいること。がんの人たちとも一緒に闘おうというのは、普通の人にはできることではありません」と誇らしく思う。
 
 始球式は15日の巨人戦。オリックスをスポンサードする母校の野球部OBの会社社長の好意で実現した。「ひろとには、『18メートル投げよう』と言って、キャッチボールの相手をしています」。当日は、イベントで大阪桐蔭高のブラスバンド部もスタンドで応援する。「ひろとのボールを受けたいと思っています」。満員のスタンドの声援を、完全治癒に向けて闘う福森さんに届ける。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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