最速156キロ右腕を変えた時間「逃げない」 才木海翔が意識する「当たり前」

オリックス・才木海翔【写真:冨田成美】
オリックス・才木海翔【写真:冨田成美】

1軍昇格に向けて3年目・才木が2軍で積み重ねる“結果”

 オリックスの育成出身、3年目右腕の才木海翔投手が、今季初の1軍昇格を目指してフォームを修正し、防御率向上に取り組んでいる。

「状態はいいです。三振もちゃんと取れていますし、あとは防御率を下げるだけです」。自信を裏付けるように才木は胸を張った。

 才木は、北海道栄高、大経大から2022年育成ドラフト2位で入団。ストレートとフォークを武器に実績を積み、1年目のオフに台湾のウインターリーグに派遣されると、最速156キロをマークし10試合で防御率0.00を記録した。2024年5月に支配下登録された後は15試合に登板し、0勝2敗1ホールド、防御率5.09。

 3年目の今季は「自分から逃げない」をテーマに掲げ、オフから練習に取り組んだ。午前5時に起床し、1時間後には大阪・舞洲の球団施設で先輩の本田仁海投手と自主トレ。寡黙でストイックに練習に向き合う本田仁と時間を共有することで、ウエートトレなども手を抜くことなく取り組んだ。

 成果は表れた。オープン戦、教育リーグ、ウエスタン・リーグで抑えとして7試合連続(7回2/3)で無安打に抑え、自責点ゼロ。3月29日のソフトバンク戦(タマスタ筑後)では5‐3の9回から登板し、バックの守りのミスをきっかけに3点を失いサヨナラ負けを喫したが、その後は3試合連続無失点で結果を残していた。

 フォーム修正の転機となったのは、4月11日のソフトバンク戦(京セラドーム)。4‐3の9回から登板し、先頭打者の四球からリズムを作れず、3安打を許し4失点で逆転負け。体の軸のブレを少なくし制球力を高める目的で、次戦からワインドアップをセットに変更すると、以後の11試合で計1失点と安定感を増した。

「再現性もそうなんですが、(投げるのは)1イニングだからストライク先行で、バッティングカウントにしなければいいんです。基本的にストライクゾーンに投げて、その中でフォークで落としたりカーブを投げたりしています」と才木。フォームを修正したことで、四球の数も11試合で4と減らすこともできた。

 さらに、セットでの球速が増す効果も。「去年までセットで140キロ後半だった球速が、153〜154キロにアップしました。軸がぶれず、並進運動(捕手方向へ体を移動させる動き)ができるようになったことが大きいですね」と明かす。

 投球内容の向上とともに、意識も変化した。バックの拙守にも「ランナーを出す自分が悪いんです。そもそも、1イニングなのにランナーを出していては意味がない。最終回を任されているんやったら抑えなきゃいけません」と意気込む。

「ここからは、数字(防御率)を減らしていくのは当たり前のことです」。夏を前に、髪の毛も短く刈った。「気合です。複数イニングを行けと言われれば行きます」。1軍で必要とされる日に備える。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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