2軍から昇格4日目に人生初サヨナラ弾 燕24歳に高津監督が見た成長「顔色違う」

8回まで18三振無得点も…9回オスナ同点2ラン→延長10回武岡が決勝1号
■ヤクルト 3ー2 ソフトバンク(6日・神宮)
ヤクルトは6日、神宮球場で行われたソフトバンク戦で延長10回サヨナラ勝ちを飾った。4月8日〜9日以来、約2か月ぶりの連勝を呼んだのは、「人生で初めて」というサヨナラ本塁打を放った武岡龍世内野手。3日前に1軍復帰したばかりの24歳の成長に、高津臣吾監督も「すごいね。一振りで決めたんだから、素晴らしかったと思います」頬を緩めた。
8回まで先発モイネロの前に18三振。散発3安打で三塁すら踏めなかった。それが0-2の9回にオスナの同点2ランが飛び出し、延長10回1死から武岡が1号ソロで試合を決めた。ヒーローは「先週まで僕ファームにいたので、ファームでは考えられない声援ですごくうれしいです。人生で忘れられない瞬間だと思います」と歓声を一身に浴びた。
4月下旬、ドラフト同期で同い年の長岡が故障で離脱。その後遊撃のスタメンを任される機会が増えたが、打率.154とふるわず5月18日に出場選手登録を外れた。約2週間の鍛錬を経て、1軍に復帰したのは6月3日。そこから先発出場を続け、4試合目で大仕事をやってのけた。「チーム状況は厳しいですけど、僕個人的にはすごくチャンスだと思って今頑張るしかないと思っているので、これからも続けていきたいと思います」と表情を引き締めた。
そんな背番号60の“変化”を指揮官は語る。「1回ファームに落としたときに、やはり(長岡)秀樹がいなくなって本人意識するところもたくさんあったと思うし、それで結果がうまく出なくて、しっかりファームで頑張ってこいと、ファームでしっかり体を動かしてスイングをしっかりして結果を残して帰ってきたので、そのときはちょっと顔色も違うし、少し自信も出てきたのかなっていうふうには感じました。いいファーム期間だったと思いますよ」。もがいた末にあった、最高の一振りだった。
いまだ借金17と苦しい戦いは続く。しかし前日5日の西武戦(ベルーナドーム)では澤井と伊藤に本塁打が生まれて勝利するなど、若手がチャンスをものにしようと必死にアピールを見せる。「意識してもらったらそれでいいですよ。結果が出るかどうかは別にして、今がチャンスだとか、何とかしてやろうとか、そうやって思ってくれるだけで結果がでなくても成長しているんじゃないかなと思いますね」と話す指揮官の表情は、柔らかかった。
(町田利衣 / Rie Machida)